【観戦記】K-1 WORLD GP 2008 FINAL 前篇 ~世代交代完結~
「ぶっちゃけ、新世代より旧世代のほうが人気あるんだよ」

開会式が終わり、いきなり第1試合からクライマックス。 「時代を変えるゴールデンボーイ」、「20世紀最強の暴君」と初めて戦うこの日。かかとおとし(夫)はウイルス性胃腸炎で苦しむ女房子供をかなぐり捨てて、北海道から横浜アリーナへと飛びました。

試合前、バダ・ハリ以上の歓声を受けるピーター・アーツを見て、私の後ろの席にいた、すでに相当できあがっていたと思われる30代の男性が不快なダミ声で冒頭のセリフを口にしました。

「アーツはすげえんだよ。16年連続で決勝まで来てるんだ」

そんなことは、お前に言われなくてもわかってる。 と、喉から出かかりましたが、全く知らない人間に言えた義理でもなく、私は沈黙しつつも、両雄のコールに力いっぱいの拍手を送りました。
さほど前の席でもありませんでしたが、横浜アリーナは見やすい会場という評価はそのとおりで、二人の姿は予想以上に大きく感じます。ああ、VIP席にはDXさんがいて、さきほどお話させていただいた滋賀のくーまんさんもリングサイドにいるし、会えなかったけどtadashiさんもこの会場のどこかで息をのんでいるのだなと思い、ブログをやっていてよかったとひとしきり感傷に浸りました。

ぼん!
ぼん!

と、いつものように上がる演出の花火。さあ、いつものK-1がはじまるのか、それとも、全く新しいK-1を見せてくれるのか。どっちだろう。どっちでもいい。どっちでもいいんだ。自分にとっては。誰が優勝してもかまわない。

■K-1 WORLD GP 2008 FINAL
12月6日(土)神奈川・横浜アリーナ 開場16:00、開始17:00

<第1試合 K-1 WORLD GP 2008 FINAL8(1) 3分3R延長1R>
●ピーター・アーツ(オランダ/チームアーツ)
○バダ・ハリ(モロッコ/ショータイム)


バダ・ハリの速攻がいきなりアーツの頭部を揺らし、後は勢いにまかせて攻め立てる「ゴールデンボーイ」。歓声が悲鳴にかわり、ダミ声の男のことはすっかり忘れて、バダ・ハリのスピードに見とれてしまいました。アーツはなんとか立て直すものの、その後もバダ・ハリの連打を食らって、レフェリーストップ。何度も強打を受けていたので、アーツが「まだできた」と言っても、おそらくは正しい判断だったのでしょう。

後ろの男がつぶやきました。 「バダ・ハリつええ……」

それにしても、恐ろしい殺傷能力。バダ・ハリはまさに、かつてのピーター・アーツのような輝きを放っていました。しかし、この時点ではそこまで風はバダ・ハリに向いていなかったようで、試合後の拍手も、一斉に立ち上がってというレベルではありませんでした

<第2試合 K-1 WORLD GP 2008 FINAL8(2) 3分3R延長1R>
○エロール・ジマーマン(スリナム/ゴールデン・グローリー)
●エヴェルトン・テイシェイラ(ブラジル/極真会館)


A席には極真関係者と思われる一団が居座り、試合前からテイシェイラコール。さすがに武道の関係者とあって、いつもは「押忍」と叫んでいる腹から出した野太い声は、凄味があります。「ICHIGEKI」と書かれたフェイスタオルを広げて応援する様は、サッカーのサポーターを思わせます。
前田慶次郎相手に微妙な判定まで行ってしまったイメージが強く、どこまで強いのかまるでわからなかったテイシェイラでしたが、さすがに極真世界王者は本物でした。ガンガン前に出て、ジマーマンの間合いをつぶします。一発一発も非常に重そうでした。
後ろのダミ声が「極真はやっぱつええじゃん」と下品な声を立てておりますが、そんなことをお前に言われたくはないと思いつつ、目の前で繰り広げられるスペクタクルな戦いに身をまかせておりました。2Rおわって、オープンスコアリングはテイシェイラ有利を指示しました。当然の結果です。「嵐を呼ぶエロジマン」と紹介されたエロールは、このまま何のインパクトも残さないまま、極真王者の踏み台になってしまうのか。残り20秒までそう思っていました
しかし。
残酷な運命とはまさにこのこと。狙い澄ましたエロジマンのアッパーがテイシェイラの顎を捉え、ガクンと世界王者は膝をついたのです。
古い例えで恐縮ですが、まさに戦艦ヤマトの波動砲。溜めに貯めて、エネルギー充填120%まで絞りあげた巨大な大砲が、火を噴きました。たった一発。このダウンによって、極真サポーター席は沈黙し、テイシェイラの判定負けが決まりました。

「なんだあのエロは? 知らねえ名前だぞ」

ダミ声の男によって、エロジマンからエロにまで省略された22歳の若者は、準決勝でバダ・ハリと対戦することになりました。知らないに決まってる。エロが突破した欧州予選は地上波放送なし。彼が日本のテレビに出たのは9月の開幕戦だけなのだから。今日から死ぬまで、忘れるな。

<第3試合 K-1 WORLD GP 2008 FINAL8(3) 3分3R延長1R>
○グーカン・サキ(トルコ/チーム・レベル)
● ルスラン・カラエフ(ロシア/フリー)


スピードvsスピード。そんなキャッチフレーズがついた試合でしたが、あまりスピードを感じない。ダミ声は「カラエフは知ってる」と熱心に解説中。しかし、カラエフの攻撃はことごとくガードされてしまいました。サキのような相手にカラエフは相性が悪いですね。カウンターに徹されると。トルコの稲妻は私の予想より少しだけ強かったようです。

<第4試合 K-1 WORLD GP 2008 FINAL8(4) 3分3R延長1R>
○レミー・ボンヤスキー(オランダ/チーム ボンヤスキー)
●ジェロム・レ・バンナ(フランス/Le Banner X tream team)


私が優勝候補に挙げたのは、ハリでもアーツでもなく、レミーです。
レミーの実力はいまやK-1随一といってもいいでしょう。しかし、声援の大きさではジェロム・レ・バンナに叶うものはありません。当然後ろのダミ声男のボルテージは最高潮

「うおおおおおお、バンナ、バンナ、バンナァァァァ」

うるせー!
不愉快な騒音に私の集中力は著しくさえぎられました。試合が進むほどに、レミー優勢。バンナは圧力をかけるも、パンチが単発で続かない。最後にはレミーに古傷の足と腕を狙われ、THE END。
バンナの棄権が会場に告げられると、
「また棄権だよ。あいつ。どうせ勝っても次の試合にはボンヤスキーが出ていただろうさ」
と、悪態をつきました。私はその意見には同意できました。バンナの左腕と、左膝はもう限界をとっくに超えている。それでも日本のファンのために、厳しい調整をしてシェイプアップして試合に出場してくれる。別に勝たなくてもいい。バンナは「そこにいるだけ」で、いい。白黒をつける世界の人間にそんなことを言うのも可笑しな話ですが、正直、そう思いました。
後ろの酔っ払いが、急に意気消沈した声で言いました。
「……俺の押した選手が全部負けてる……」
いまごろ気づいたか。馬鹿め。この4試合。若い選手が必ず勝っている。世代交代は、これにて完結。16年間のK-1の歴史は、このダミ声のテンションとともに、終焉を迎え、そして始まる「新しいK-1」。
ここから先は私たちが味わったことのない、未体験ゾーンなんだよ。ニヤリとほくそ笑みながら、私は友人の買ってきた餃子をほうばりました。


中篇・・・・・・リザーブマッチ&準決勝
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by the_kakato_otoshi | 2008-12-08 20:29 | K-1

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