【観戦記】K-1 WORLD GP 2008 FINAL 中篇 ~未知の世界~
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↑前篇はこちら。観戦記、はじめての方はこちらからお読みください。

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新しいK-1を始める前に、少しだけインターバルを取る時間与えられました。

<第5試合 K-1 WORLD GP 2008リザーブファイト 3分3R延長2R>
●チェ・ホンマン(韓国/フリー)
○レイ・セフォー(ニュージーランド/レイ・セフォー ファイトアカデミー)


動けない、追えないホンマン。得意の挑発でホンマンを誘い出し、顔面を狙うセフォー。……なかなかクリーンヒットしませんが。両者共に決め手がなく、攻勢のセフォーが判定で勝利しました。ホンマンの限界か……。マッチメイク的には、にぎやかしのはずがにぎやかしにもならなかった凡戦でした(泣)。

<第6試合 K-1 WORLD GP 2008リザーブファイト 3分3R延長2R>
●ポール・スロウィンスキー(オーストラリア/チーム ミスターパーフェクト)
○メルヴィン・マヌーフ(オランダ/マイクス ジム)


平時であれば、盛り上がりまくるであろう凄いKO劇。90キロ程度のマヌーフが大ぶりのフックで実力者スロウィンスキーを完全失神KO。しかし、試合前も試合後も、観衆からの声援で一番多かったのは「ホースト~!」の声だったのはあえて聞かなかったことにしましょう。

アーツは去り、バンナも去り、そしてホーストの一番弟子も沈黙しました

しばしの休憩時間ののち、ついに始まった準決勝。エロール・ジマーマンは、なんと1回目と2回目の入場曲を変えるという念の入れ方でした。テイシェイラ戦の入場では着用していたボーンスーツはなし。バダ・ハリは張り詰めた空気、青白いオーラをまとっていました。あくまでも陽気なエロジマンか、静かに闘志を燃やすバダ・ハリか。

<第7試合 K-1 WORLD GP 2008 準決勝(1) 3分3R延長1R>
○バダ・ハリ(モロッコ/ショータイム)
●エロール・ジマーマン(スリナム/ゴールデン・グローリー)


第1ラウンドは、よく覚えていません。会場内の気温が熱くなっていたのと、長い興業の中間で集中力が切れかかっていたためです。その空気が一変したのが、第2ラウンド

終始アドバンテージを取っていたバダ・ハリが、突如として後方に吹っ飛びました
このとき、横浜アリーナが覚醒したといってもいいでしょう。割れんばかりの歓声。「エロジマン!」「エロジマン!」の声。誰一人としてジマーマンとは言わない。でも、そんなことは些細なこと。大切なことは一つの事実。テイシェイラ戦で放った「戦艦大和の主砲」が再び火を噴いたのです。まさに、現代における大鑑巨砲主義の復活。

「エロすげええええええ」

後ろの男が叫びました。私も思わず立ち上がりました。アーツをノックアウトしたバダ・ハリが、今度は無名のエロジマンにダウンを奪われ、体育座りでカウントを聞いている。K-1はこの一発でさらに進化を果たしたのです。

この世の人間、特に日本人はすべからく「序列」という名の呪縛に縛られています。
長らく王だったセーム・シュルトを、かつての王アーツが倒しました。しかし、復権した「20世紀最後の暴君」を、「21世紀の王」であるバダ・ハリが倒した。王同士の政権争い。エキサイティングな歴史物語。しかし、その新たなる王が、いまオランダのスラム街から現れた一人の無名の市民によって倒されようとしている。下克上。農民から天下人になった豊臣秀吉という人物を思い起こさせました。
「序列」を無名の平民が打ち破るとき、人々は熱狂します。
スターとは、番狂わせの中から生まれます。

そして、今行われていることは、歴史上の出来事ではなく、これから起きること。この先誰にもどうなるかわからない。リングサイドで観戦しているスポンサーやアナウンサー、主催者でさえも。賽は投げられたのです。格闘技の未来がいまこうしてこの場で作られようとしているのです。折りしも、世界は大恐慌時代に突入しようとしています。震源地米国では総合格闘技の団体が次々とぶっ潰れ、巨額の負債を抱えて右往左往。「期待のホープ」がシュートボクシングに出稼ぎに来ている現実。無論、この会場にも時代の寵児となったキンボ・スライスがいる。再び、世界の格闘技は日本に目を向けているのです。
不確定な未来を創る役割は、バダ・ハリとジマーマンの二人のオランダ人に託されました。そこには、外部のあらゆる介入はありません。

カウント9で立ち上がったバダ・ハリの反撃が始まりました。猛烈な勢い。そして2ラウンド内にダウンを奪い返すと、会場……少なくとも私のまわりの席は総立ち

第3ラウンド。完全に息を吹き返したバダ・ハリと、一発の巨砲を常に隠し持っているジマーマン。そして、その時がやってきました。バダのカウンター気味のストレートがジマーマンの顔面を捉え、つい3分前まで無名だった男はぐにゃりとリング中央に倒れました。旧世代にしか興味のなかったはずのあの男が、上ずった声で吠えました。

「俺、バダ・ハリのファンになった!」

おお、これは奇跡か。いや、それとも必定か
おそらくは、同じ想いをもったおっさんたちがこの会場に大勢いることでしょう。
観衆大盛り上がり。これぞカタルシスの爆発
ああ、来て良かった。エロも頑張った。

私はずっと間違っていた。
K-1を若返らせるには、ファンを若返らせるしかないと思っていた。
いつまでもアーツ、フグ、バンナにしがみつく旧世代ファンを見捨て、若者のファンを取り込まなくてはならないと考えていた。ずっとブログでそう書いてきました。

しかし、その考えはこの知性のかけらもないようなダミ声によって否定されのです。
一度戦いのとりこにされたものは、戦いによって再びとりこになるのだということ。
バダ・ハリとジマーマンはこのダミ声の心を変えた。
多分、そのとき私はニヤリと笑ってました。そして、心の白旗を揚げました。

<第8試合 K-1 WORLD GP 2008 準決勝(2) 3分3R延長1R>
●グーカン・サキ(トルコ/チーム・レベル)
○レミー・ボンヤスキー(オランダ/チーム ボンヤスキー)


爆発的な試合の後、冷静なレミーとサキの試合。1ラウンド目は堅いレミーのガードをサキが崩せない展開。レミーはガードを固め、機を捕えて連打を浴びせるスタイル。美しいコンビネーション。そのスピードは在りし日のアーネスト・ホーストを思わせるものでした。
強い。
バダ・ハリほどドラマチックな試合ではないですが、レミーは強い。パンチの攻撃力が以前より上がっており、殺傷能力が高いのです。そして2ラウンド目の突然の幕切れ、なんとロープを背にし、その反動を利用したジャンピングミドルキックが、トルコの稲妻の背中に突き刺さり、悶絶。大型ビジョンに映し出されたサキの苦悶の表情を見て、「決まった」とすぐにわかりました。
いかにバダとはいえ、レミーの今の強さには及ぶまい。戦慄は走り、そして因縁ある二人の決勝戦が決定したのです。


後篇(http://kakato24.exblog.jp/10296519/)に続く。


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by the_kakato_otoshi | 2008-12-09 08:59 | K-1

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