トム・ハーリックインタビュー後編 「タイロン・スポーンが練習したいと電話をかけてきた」
ドージョー・チャクリキ創設者、トム・ハーリック会長のロングインタビューも最終回。多分、日本語で読めるのは当ブログだけ!

前編、中編もあわせてお読みいただければ幸いです。

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--システムとしてのチャクリキは長年の間に変わりましたか?

「いえ、何も変っていませんよ。
もちろん、年月を経ていろいろと学んでいます。今はあなたは30歳くらいで、いろんなことを知っていると思っているでしょう。しかし、もっと年齢を重ねると、あなたはさらに多くのことを知るのです。
私は65歳ですが、いまだに新しいことを学んでいます。もっとよいコンビネーションを理解するのです。人生経験の問題ですね。
であるがゆえに、例えばアメリカ人の有名ボクサーのコーチは年齢が高いのです。マイク・タイソン、モハメド・アリ、シュガー・レイ・レオナルドのコーチは73~75歳でした。そして、彼らが死に、より若いコーチに変ったときから、キャリアは下降線を辿っていったのですよ。今なら、それがなぜなのかを理解できます。
70歳以上のコーチがコーナーにいたら何を意味すると思いますか? 選手には年齢を重ねたコーチが必要なのです。彼らは100%成功への道を持っているのですから」

--昨年のK-1ファイナルでは、8名のうち5名がオランダ人でした。私は理解しがたいのですよ。オランダ人はあまりアグレッシブな性格ではないので……。

オランダのコーチは高いレベルで競い合っています。フットボールではアヤックスとフェイエノールトが競い合っているのと同じように。私はヤン・プラスに勝ちたい。ヤンはトムに勝ちたい。常にそういう関係で、選手に対して厳しいトレーニングを課しているのです。
現在、オランダではキックボクシングの人気が高いですよね。これがアメリカではMMAになります。
もし、アメリカ人がキックボクシングの良いコーチを得れば、強いキックボクサーを排出するでしょう。私がアムステルダムでコーチをはじめたので、「アムステルダムには強い奴がいるが、ユトレヒトやロッテルダムにはいないんだ」と、人々は口にしましたが、その後ユトレヒトにジムをオープンし、3人のオランダ人王者をその土地から輩出しました。スポーツ選手に出身地は関係ないのです
オランダであっても、ロシアやベルギーであっても。コーチがいれば、選手も育つ。アムステルダムには強い奴がいるというのは真実ではないのです。もし、私がロシアの小さな町でジムを始めたとすれば、人々はロシア人は強いのだと言うでしょう。ロシアには何度か訪れていますが、モスクワにはハードに練習する選手がいます。しかし、彼らはシステムを持っていない。やり方を知らないのです。コーチこそが良いファイターを生み出すのです

--今、現役で興味を持っている選手はいますか?

タイロン・スポーンです。彼は、ちょうど昨日私に電話をかけてきました。チャクリキで練習がしたいと言うんです。タイロンにはスパーリングパートナーが不足しているという問題があるようです。私のジムには多くの選手がいますから、受け入れることは可能だと伝えました。
K-1で、興味を惹かれる選手はそれほどいませんね。K-1には多くの政治的な面がありますから。全く同じことが、オランダの「It’s Showtime」にもあてはまりますよ。「It’s Showtime」はシステムの確立には程遠い」

--あなたは選手をショータイムに出場させていますが、それは知り合いがいるからですか?

「ノー。彼らを無視するわけにはいかないからです。しかし、しばしば面倒なことがあります。例えば、バス・ブーン(大手ジム・ゴールデングローリーの代表)に「ガージェスvsサキ、ブレドックvsジマーマンをやらないか?」と声をかけたことがあります。しかし、バス・ブーンはやりたがりませんでした。自分たちにとっての利益になる自信がなかったからです。不幸にも、こうしたことが起きました」

--なるほど。もし、本当に強い選手がいたとして、ショータイムで戦わせますか?

「時々は。もし、本当に、本当に、怖ろしく強い選手がいれば、彼らは無視することはできないでしょう。勝ち続けていればチャンスはやってくるでしょうし、彼らもその選手のために試合を組むんです。もし本当に強ければトップでい続けれられるでしょう。
多くの日本人選手はオランダ人にかないません。しかし、日本にいるならば、オランダより多くのマネーとプロモーションの恩恵を受けられます。リングはオランダも日本も同じです。ところが、日本はメディアが発達し、それが大きなビジネスになっています。そこがオランダと違うのです。
オランダやルーマニアにもハイレベルな組織があり、良い選手がいるのですが、まず報道されませんからね」

--誰もそれを変えようとしません。テレビやその他のメディア戦略の構築を。

「そうです。誰も手を打ちません。しかし、(オランダの)テレビはK-1と契約しています。それが(できるのが)K-1なのです。K-1=フジテレビはすべて政治的に動いています」

--ところで、あなたのジムの支払い条件について驚いたのですが、オランダでは普通1年契約なんですが、あなたは3ヶ月だそうですね。非常に好ましい条件で、しかも安い……

「イエス。もちろん、我々はお金を払ってもらうことが必要です。コーチや雇い人、部屋代そして税金を払わなくてなりませんから。
しかし、ジムから離れる際の問題を起こしたくはありません。長い期間の契約をしないのはシンプルな理由です。子供たちは、月に18ユーロで週3回の練習に来れます。とても安い金額で、我々は300人の子供に練習させています。当然、プロのファイターから得られる利益にも興味はありますが、正直あまり稼げてはいません。
しかし、それはたいした問題ではありません。私の妻は稼ぎが良いのです。彼女は法律家で、大学で教鞭をとっていますから」

--もう12時ですね。そろそろお時間ですか?

「そうですね。もういかねば。今度来るときには、一緒にトレーニングしましょう。あと、バーに私の著書を置いておくので、それを持っていっていいですよ」

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前編ではバダ・ハリが「売られていった」過程を語っていたハーリック会長ですが、このインタビューの最後でお金に頓着しない方針であることが明らかにされました。若いバダ・ハリにはお金が必要で、錬金術に長けていないハーリック会長との決別は必然であったと私は感じました。
自分が稼げる内に稼ぎたいのが選手の気持ちですからね。
ひたすらに自分のやり方にこだわりを見せる職人気質のハーリック会長と長いことやっていくのは難しいでしょう。バダに、法律家の奥さんでもいれば話は違ったかもしれませんが(笑)。

K-1は政治力が必要とハーリック会長は認識していますが、オランダでキックボクシングを電波に乗せたのもまたK-1であるとも感じているようです。

ハーリック会長が一番強調したのは、選手の質=コーチの質であるという部分だと思います。
オランダ人が強いのは、オランダ人だからではなく、ハイレベルなコーチが揃っているからだと。
ゆえに、いいコーチ、いいスパーリングパートナーのいるジムに選手が集まってしまうのは、必然でしょう。

2008年、谷川氏がインタビューで、オランダのコーチがもっと国外で育成をしてくれればいいんだけど。
と、語っていたことを思い出しました。

オランダの独占状態が続くK-1ヘビー級の世界。
その最初の名物コーチであるハーリック会長のインタビューでした。

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by the_kakato_otoshi | 2009-03-18 19:35 | K-1

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