「昔はよかった」のか?
私の嫌いな言葉ランキング1位はダントツで「昔の○○はよかった」と、「昔は○○だったものだ。今は~」です。

進化と変化を否定し、過去を無批判に肯定し、現在を受け入れられず思い出にすがるメンタルの弱い人間の邂逅など、私は生涯一笑に付していきたいと思っております。

話は格闘技に移って。

格闘ブームは過ぎ去り、格闘ブームを作り上げたK-1はどう動いていくことになるのでしょうか。

K-1は選手の入れ替わりやルールの変更はあれど、基本的には年1回のトーナメントという基本軸をすえたまま18年の時の流れを変わらずにあり続けたという一点については、非常に評価されてしかるべきかと思います。
当然、欲を言えばきりがないのは多くの人もご承知の通り。それを否定する気はありません。

ところが、よく元K-1ファンもしくは現K-1ファンと思しき人が「昔のK-1はよかった」と言います。
こういう人がいるということを私は否定しません。
しかし、良く考えてみると、じゃあ昔の何がよかったのか? 昔とは何時か? 昔には悪い部分はなかったのか? という問いに彼らは答えを持っていません。ただ、漠然とそのように思っているだけであることが圧倒的に多いのです。
(もちろん、統計的に数字を取って書いているわけではないので、データとしてではなく、あくまでの私の個人的な印象の統計ですが)

あえて、私は「昔はよかった」への反論をまとめてみたい。


まず、第一に。

今現在の格闘ブームに火がついたのは90年代、特にK-1が地上波ゴールデンに乗った時期を始まりとして捉えましょうか。

その頃から、すでに10年以上が過ぎていることを考えてみてほしいのです。

当時、格闘ブームに乗った世代は10代~20代が中心だったと思います。(それ以上上の年齢の格闘ファンは昭和時代の「プロレスファン」であることが多く、ここでは除外します)

10代後半~20代は将来に夢を持ち、親の庇護と影響下から徐々に解き放たれ、自由自在に自分のアンテナを世の中に張り巡らせています。

突如お茶の間に現れたヘビー級ファイターの派手なぶつかり合い、既存の格闘技とは違った派手な演出と個性溢れるキックボクサーたちの狂演は、そのビビットな若い感性を握りつぶすほどのインパクトを与えたことでしょう。

そんな彼らも今や30代。その10年以上の間に、一月に一回以上の格闘技イベントが地上波放送でオンエアされ、世界中の猛者たちも一通り日本に招かれました。

しかし、経験を積み、社会の厳しさを知り始め、自分の才覚の限界を悟り始める30代という層は、その感性もまた磨耗、磨り潰されているのです。

格闘技中継などで言えば、どんな演出もすでに既知であり、またどんな意外な展開も数百という試合を観戦する中で心を動かされなくなってくるものです。
感動する気持ちが緩やかに死んでいる状態なんです。感動を素直に受けられなくなり、そして「昔はよかった」と口にした瞬間、完全にその人物は死にます。過去の衝撃を越える出会いに会えず、どんどんと目が肥えてハードルが高くなっていく。それは、過去を素晴らしいものと思い込み、現在を受け入れることができなくなったスタートラインに立った刹那。と、言い換えてもいいでしょう。

昨日観た映画の話をしているときに、「昔こういう映画があって」と内容の類似する過去の映画についてクドクドと説明をする親父がたまにいるんですが、今、現在進行形で進行している文化をすんなりと噛み砕くことができない「死んでいる」人間だと私は解釈しています。

あえて反論を承知で書かせてもらえば、「過去の長い期間」を「昔」とヒトククリにしてしまうように、自分の感性をセンスィティブな状態に維持できなかった人間。そういう人物が、今行われていることをどうこう語るなと申し上げたいわけです。

ま、かなり抽象的な話になりましてすみませんが、第1に言いたいことはそんな感じです。
あんまり上手く説明できていない気もしますが。。。。


第2に、コア世代の感性が枯渇しかけていると同時に、もう一つ枯渇しているものがあります。それは選手資源そのものです。
もともとMMAであろうとキックボクシングであろうと、世界的にはアンダーグラウンドであることには変らない。
ゆえに、日本が格闘技バブルのころの資本で一斉に先を争って採掘すれば、物凄いスピードで枯渇していくのは明らかなことです。

しかも、いまやインターネット世界。あらゆるファイターはすでにYOUTUBEに登場しており、1分も調べれば選手の肌の色から履歴、ファイトスタイルまでこの眼で調べることができる。

主催者側の「育てる努力」も認める部分ですが、圧倒的に発掘スピードのほうが速いのだから、枯渇するのは当たり前。必然的にHIROYA率いる「K-1甲子園」勢のような「青田買い」を始めなくてはならないでしょう。

元来ヘビー級主体だった日本格闘界が、徐々に軽い階級にも手を伸ばし始めたのは、重い選手からどんどん枯渇していったからに他なりません。MMAに至ってはUFCの台頭もあり、いまやヘビー級のトップファイター同士の試合というものが日本ではほとんど見られなくなっている事実は覆せません。
そして、K-1はヘビー級、MMA、70キロ級、60キロ級、ワールドユース、高校生とどんどん細分化し、ついには谷川EPが「女子」と言い出すようになりました。金脈を掘って掘って掘りまくった結果、「金でなくても採掘しておけ」状態になっているのが、現在の状況であると私は分析しています。

したるに、なんたる愚かしさ!!

つまり、「昔はよかった」というのは、単に金脈が豊富にあったというだけの話であって、それを掘りつくしたのは自分たちファンの希望だったのですよ。自分たちであらかた掘りつくした後、荒野で「なんでねえんだよ!」と吼えているゴールドラッシュ後の失業した採掘工のようなものです。
"It's no use crying over spilt milk."
ということわざもあるってことですよね。


3番目にちょっとだけ具体的な話をさせてもらえば、
ルール、ジャッジ、システムのどの面においても現在のK-1は過去を凌駕していることも付記させてほしいと思います。
非常に日本人寄り、空手寄りホームディシジョンが強い傾向にあったジャッジを、亀田vsランダエダ事件の影響以降かなり公平に改正されました。武蔵が勝てなくなってきた時期ともこれは符合します。
また、そもそも当初は主催者が選んだ8名で行われていたトーナメントも、いまや予選を開き、16名まで増やし、1年をかけて頂点を決めるシステムが出来ています。すべてが完全な存在ではないですが、明らかにこれは進化です。「昔」に戻されてはならない面でしょう。


以上は私の個人的な意見ですが、
社会でも怠けてばかりで地位だけは高いおっさんが、
「俺の若い頃は」という決まり文句から始まる武勇伝(笑)を語りはじめることがあります。
体育会系なノリの親父にはありがちで、大抵がため息しかでないような下らない根性論です。経験ありませんか?
そんな奴はハニートラップに嵌めて自分の目の前から消してやりますがね(笑)。

「昔はよかった」というのは、それと同じくらい、無意味で非生産的な感傷なんですよ。

と、いう事が書きたかったわけです。

私は世界も格闘技も「昔はよかった」などとは思わない。「昔もよかった」とは思うけどね。
それよりも今、現在進化系でどうなっていくのかのほうがよほど興味があるわけです。

今の10代~20代前半のファン、つまり初期格闘技ブームを知らないファンは、ネット上で「昔はよかったジジイ」もしくは「すでに過去のものになった某団体大好きジジイ」などの魑魅魍魎に攻撃されることがあるかもしれません。しかし、そんな「死んだ」人間のことを相手にしてはいけない。猿知恵ばかりついて、肝心要の感性を過去に忘れてきてしまったような自称元ファンor現役ファンの話などに耳を傾けるのは時間の無駄ァ!
自分が見て、素直にどう思うかを大切にしなくてはならないと思う次第です。あなたたちの金脈はまだ尽きていないのだから。


という話を書くと、決まって2003年~2005年くらいの「K-1ヘビー級暗黒時代」もしくは「谷川モンスター路線」の話を持ち出す人がいるんで先に書いておきたいんですが、これについては2007年11月に連載した「K-1モンスター路線とはなにか」全4回をご参照いただきたいと思います。

http://kakato24.exblog.jp/7409695/


では、明日は予想GPです。
今日のようなこんな駄文は別に読まなくてもいいので、明日お待ちしております(笑)。


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by the_kakato_otoshi | 2009-04-16 10:30 | K-1

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