海外の格闘コメンテーターがバダ・ハリを語る「アンチヒーローの誕生だ!」
K-1英語圏放送の解説を務めるマイケル・シャベロが、
自身のウェブサイトでバダ・ハリについてのエッセイを書き記しましたので、いつものかかと和訳でお伝えします。非常に英語圏の人らしい見解がユーモラスな文章で表現されていますので、バダ・ハリが好きな人も嫌いな人も楽しめるのではないかと考えております。

http://www.thevoiceonline.info/page19.htm

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バダ・ハリ効果 ~アンチヒーローの誕生~ マイケル・シャベロ

バダ・ハリをどう思う? K-1の英語圏コメンテーター、マイケル・シャベロはこのスポーツの不安定な天才を取り上げる。この男を好きでも嫌いでも、ちょっと耳を傾けてくれ!

素晴らしいドラマを見るかのように、ファンはK-1の英雄たちを愛していた。ボンヤスキー、テイシェイラ、カラエフ、アーツ、サキ、彼らは美しいテクニック、ガッツ、度胸、そして真の武道精神を誇示しているだろ。K-1のファンは例えば、武蔵のような消極的なファイター、体格的に非常に有利なセーム・シュルト(3度の王者に輝いたにも関わらずファンの支持を得ることに失敗しています)は好まなかった。

だが、2008年12月6日10時。最後の1分、「シックスセンス(米1999《監督》ナイト・シャラマン)」の監督すらペンを走らせることはできなかった。K-1に真の「アンチヒーロー:バダ・ハリ」が誕生した瞬間だったんだ。K-1でのキャリアを爆発的にスタートさせた後、彼はオークランド大会の記者会見で不名誉なストリートファイトを繰り広げ、大阪での開幕戦では試合後にバックステージで大暴れした。バダ・ハリに「防音装置」が付いたのは、2007年のハワイ大会でヘビー級王者を獲得してからだ。そして、ほとんどのファンはバダ・ハリから悪魔は去ったと考えていた。

しかしながら、「ユージュアル・サスペクツ(米1995《監督》ブライアン・シンガー)」のラストでヴァーヴァル・ケントがuber-villain ケイザー・ソーズに姿を変えた時に匹敵するほど目玉が飛び出るような事態が起こる……二つの反則パンチと、忘れ難き足蹴りがひっくり返ったレミー・ボンヤスキーに飛び、バダ・ハリはK-1WGP史上初の失格選手となる不名誉を得てしまった。

天才と狂人は紙一重と言われている。バダ・ハリの天賦の才は、不運にも彼のキャリアを永遠に汚す一瞬の狂気をもたらしてしまった。フランスのフットボーラー、ジネディーヌ・ジダンが、2006年のW杯決勝戦でマルコ・マテラッツィにヘッドバットをかましたように、もしくはテニスのジョン・マッケンローが1990年のオーストラリアオープンで線審の女性を怒鳴りつけ、ラケットを叩き付けたときのように、バダ・ハリの足蹴りはどれだけこの輝けるモロッコ人が実績を残そうとも、そのキャリアに、永遠の影を落とすことになるだろう。

私はバダ・ハリがこれまで見てきた中で最も才能ある選手であるという見解は変えないが、そのことがK-1にとって問題をややこしくしている。一方では、彼は世界トップのファイティングブランドの評判を貶め、ブランドで最も重要な試合をストリートファイトにしてしまった。そして彼はファイトマネーを支払われず、ヘビー級のタイトルも奪われ、懲罰を受けた。ファンの一部はより厳しい罰を求めたが、K-1にはバダ・ハリが必要なのも事実。
ハリは典型的な若い世代のファイターだ。ユニークで、大口を叩き、自信家。そして、彼はこのスポーツの歴史を根底からひっくり返すことができるのだ。まさにピーター・アーツが1990年台の旧世代を代表していたように、バダ・ハリは新世代のけん引者であり、相手をノックアウトするだけではなく、ド派手に戦い、相手の痕跡すら消し去るスタイルだ。

バダ・ハリは、自身が若き日のアーツに類似していることに気がついている。このモロッコ人は、度々繰り返し発言している。曰く、「K-1を黄金時代に戻したい」と。彼の子供のころからのアイドル、アーツ、ホースト、フグ、グレコ、そしてベルナルドが試合開始のゴングの鳴った瞬間からノックアウトだけを狙っていたあの時代を呼び覚ますのだと。グランプリ決勝戦での足蹴りは、スロースターター、ディフェンシブなファイターに対する彼の侮蔑の気持ちが入っていたのかもしれない。彼はレミー・ボンヤスキーのガード&カウンタースタイルには全く敬意を持っていないが、準々決勝でピーター・アーツに勝った後、膝をマットにつけて崇拝するかのようにアーツにお辞儀をしたのだ
そんな彼を、マイク・コーギャンがK-1WGP準決勝の入場時に放った言葉が完璧に言い表している。
「バダ・ハリが好きでも、嫌いでも、こいつにはみんな言いたいことがあるだろう!?」

ハリはK-1のカート・コバーン(ニルヴァーナ)であり、マイク・タイソンであり、ジョン・マッケンローであり、ディエゴ・マラドーナだ。
天才は行動に理由などなく、そして模倣できないものなのだ。(少しだけ中略)

ハリの行為は前例がなく、解釈不能なものだった。これは端的に言うと「ハリ効果」だ。あなたたちはハリがどんな戦いを見せてくれるか、全くわからない。彼を注視することはまるでドラッグだ。のめりこめば、信じられないほど高いジェットコースターとつまらない精神を噛み砕く機会を保障される。彼のK-1での18試合は、劇的な勝利(レコ戦、カラエフ戦)を収めるか、劇的な敗北(グラハム戦、アリスター戦)で終わるのか、いずれにしても退屈な瞬間は決してない

「ハリ効果」はK-1に新しい世代のファンを引き寄せている。今日では、効率的でインスタントな満足が人生のあらゆる局面で求められているが、バダ・ハリはその両方を満たしている。彼の試合は速く、痛烈で、濃厚だ。ハリを観るものはマバタキの暇もないんだ。

私は、ハリが私の友人たちをK-1ファンにしてしまったところを目撃した。2週間前、全くK-1を観たことがない二人の友人にグランプリを見せたんだ。一人はフライトアテンダントで、一人は建築家であり、二人とも格闘技のファンではない。アクションやドラマを観るかのようにグランプリを流し始め、私は友人たちが席から飛び上がりながら観戦し、バダ・ハリの試合で拳を握り締め、肺が一杯になるほど歓声を上げている様子を眺めていた。バダ・ハリがアーツに勝利したとき、友人が私を振り返り、こう言った。
「この男、ヤベエよ!」。

ジマーマンを倒した時には、フライトアテンダントがジャンプを繰り返して叫んだ。 
「おお、なんてこと! こんなことって!」
……面白いことになっていた。
そして、決勝戦で失格になった際、二人の友人は顔を見合わせて残念そうに私に言った。
「なあ、こんど日本に行くことがあったら、バダ・ハリのTシャツを買ってきてくれないか?」
「レミー・ボンヤスキーのシャツはいらないのか?」と、私は提案した。
「結局、勝ったのは彼だ」
「確かにそうだ。けど、ハリはクソ熱いじゃないか」と、建築家が言った。
「彼がボスだ」フライトアテンダントが付け加えた。
「あの男はクソ野朗の星だよ! 俺はMサイズだな」
「俺はLだ」と、建築家。
端的に言えば、これが「ハリ効果」だな。狂気、熱……そして商品価値!!

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HAOコレクション バダ ハリ←バダ・ハリを一家に一つ!

以上です。

実に「あっちの人」らしい見解です。
きちんとオチがあるし、面白い文章だと関心しました。英語圏の人しかわからないような映画の比喩はちょっとよくわかりませんでしたが。

バダ・ハリという人物が抱える自己矛盾や、圧倒的な魅力が上手く伝わってますね。「アンチの数がファンの数」とは読売巨人軍を表す言葉(だったような)ですが、まさにバダ・ハリはそういう人物なんだろうなと思います。

旧世代の英雄アーツは、今このゴールデンボーイの首を狙ってドージョーチャクリキで若い連中と一緒に汗を流しています。再びこの二人が激突する日は近いでしょう。

ハリはまだ若く、「金の成る木」であり、であるがゆえにK-1は22歳の彼に異例の長期契約をオファーし、サイモン・ルッツはK-1が育てた果実を横取りしようと虎視眈々と狙っているのです。今後、バダ・ハリ争奪戦に乗り出すプロモーターはまだまだ出てくるかもしれません。かつて、ドン・キングがジェロム・レ・バンナを抱え込もうとしたときのように。
予測ですが、これからは金のためには手段を選らばない西欧のプロモーター相手に、いかに日本のプロモーターは戦っていくのか。という部分がクローズアップされていくでしょう。

そう考えると、なんだかそこらへんをうまく立ち振るまえるのは、あの人しかいないような気がします。
そう、活動を再開したあの人。


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by the_kakato_otoshi | 2009-06-19 09:23 | K-1

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