1年越しの真相を公表した角田ルールディレクターは正しいのかどうかを検証
<あのジャッジ>

K-1 WORLD MAX 2008準決勝、魔裟斗vs佐藤嘉洋戦の第3ラウンド、
ジャッジが「9-8」をつけた事件について、
K-1ルールディレクターの角田さんがブログでそのときの裁定の流れを公開しました。

http://ameblo.jp/kakuda-nobuaki/entry-10360827411.html#cbox

角田さんの文章を引用させていただきながら、
当時納得がいかなかったこの「9-8」の是非を考えてみます。

ただし、角田さんのこの文章は、
ブログであるために、語りかける要素が強く、感情的な表現も見られるため、
そういった部分はなるべく考えずに「客観的な事実」のみを引用します。

その前に、全くこの試合を知らない人のために、
簡単に試合内容をおさらいしましょう。

1ラウンド:差がなくドロー。(10-10)
2ラウンド:明らかな魔裟斗優勢(10-9)
3ラウンド:佐藤がダウンを奪うも、その後魔裟斗が攻めたてて、挽回。(佐藤9-8が2名、佐藤10-8が1名)この時点でドロー、延長戦へ。
4ラウンド:10-9で魔裟斗。試合終了。


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試合の模様はこちらで


問題点は3ラウンドにあります。
すなわち、「9-8」という採点が、ルール上にないということです。

まず、角田さんによればルールブックには以下のようにあったとのことです。
(以下、引用文はすべて赤字)


優勢の選手を10点とし
劣勢の選手から減点する

両者に差がなければ
10対10

※明らかな差があれば
10対9

ダウンを一度奪えば
10対8

※ダウンにまでは至らなくてもほとんどダウンに近いダメージを与えたと判断し
10対8がつく事もあれば

※ダウンと宣告されても
バランスを崩して倒れた様な通称フラッシュダウンと呼ばれるダメージの浅いダウンだと判断すれば
10対9になることもある

ダウンを二度奪えば
10対7

※一度ダウンを奪った後更に攻めて二度目のダウン寸前まで追い込んだ場合も
10対7がつくことがある


つまり、優勢な方を「10」とすると書いてあるため、
優勢な佐藤が「9」であることがオカシイというものです。

これに対して、角田さんは

「自分に問題があった」

と認めたうえで、このように述べています。

ダウンを奪われた選手が
そのラウンド内で劣勢を挽回したらどうなるか?

ルールには明文化されていない


つまり、

ダウンを奪われた選手がその後ポイントを取り返すレベルの・・・
ダウンがなければ「10-9」とされる程の攻勢だったときのことは書いていなかった。

と、いうことです。

仮にダウンがなければ、
10-9であった選手が、
一度、ダウンを奪われた。

ジャッジ2名が、
「ダウンで2点差だが、ラウンド全体では有利だったので、1点差にしよう」
と、判断したようです。結果として、「優勢なほうを10点とする」というルールに基づいて、
「10-9」
とペーパーに記入したのです。

(もう一人のジャッジはそれを佐藤のダウン分2点差をそのまま反映したため、
「佐藤10-8」をつけています)

「10-9」というジャッジ二人の採点をチェックした角田さんは、
「アドリブ」で以下のような「横槍」を入れました。

回収されたジャッジペーパーにミスがないかどうかを
キチンとチェックしてから公式に記録するのは
僕の責任業務です

見たら、
10対9が付いている

ジャッジは
ダウンした後の挽回を評価したな!?

しかし僕は即座に考えました

あれだけきれいなダウンを奪っていながら
10対8ではなく10対9がついたら

倒れた魔娑斗が挽回した

という客観的判断が出来ない人たち(観客・ファンその他含め)は

何でダウン奪ってるのに10対9なんだよ!!!

絶対そうなる!
これは混乱する!!


僕は咄嗟に
規定にはない
9対8
を付けたんです


という、アンビリーバブルな行動に出ました。

<苦しむ角田氏>

アンビリーバブルなのは、9-8という採点結果ではなく、
角田氏がジャッジのペーパーを書き換えたという事実です。

結果的には「1点差」であるということは変りません。

さて、ここで浮かび上がる問題点をおさらいすると、

1)ジャッジのペーパーを角田さんは書き換える権限を持っている
2)ダウンを奪われたにも関わらず、ラウンド全体では優勢だった選手は2点差ではなく、1点差になる。

の2点になると思います。

1)については、1点差としたジャッジの決定を覆してはいないので、
「問題だなぁ」とは思いますが、とりあえず責任判断なので、これは置いておきましょう。

本質的なのは、2)のほうですね。

規定は、

ダウンを一度奪えば
10対8


とあります。

ダメージのない、フラッシュダウンであれば10-9となりますが、
3ラウンドに佐藤が取ったダウンは、明確なダウンですのでこれだけで10-9にはなりません。

やはり、ラウンドを通しては魔裟斗が有利だったからこそ、点差が縮まったのです。

ルールには明記されていないことです。

ですから、ルールだけを厳密に見れば、
どれだけダウンを奪われた選手が有利だったとしても、
「10-8で佐藤」でなくてはならないことになるのではないでしょうか?

<10-7がありうるならば>

ルールをもう一度チェックすると、

ダウンを二度奪えば
10対7

※一度ダウンを奪った後更に攻めて二度目のダウン寸前まで追い込んだ場合も
10対7がつくことがある


と、書かれています。

つまりダウンを奪った後、追い討ちをかけてさらに攻め立てた場合には、
もう1点奪えるんだと規定されているのです。

これは優勢なほうが追い討ちをかけた場合、ダウンを伴わなくても、
点差が広がる可能性を示唆しているものです。

で、あれば、これが逆になった場合。

つまり、劣勢なほうが逆襲して攻め立てた場合に、これと逆の事が起こらなくては筋が通らないのです!

すなわち、2点差が1点差になる。

ということです。

10-8の状態が、ダウンなしでも10-7になることが書かれている以上、
10-8の状態が、ダウンなしでも10-9(1点差)になる。

と、ジャッジは判断したため

あの3ラウンドを「10-9」としたのです。

もちろん、そこにはあの一文

優勢の選手を10点とし

があることを思い出してください。

ジャッジは必ずどちらかに10点をつけなくてはならないと考えていたため、佐藤からは減点しませんでした。

しかし、角田さんはおそらく、

「これでは、ジャッジが魔裟斗のダウンをフラッシュダウンと判断したと思われてしまう

と、考えたのだと思います。

<結論は・・・>

あれほど明確なダウンをフラッシュダウンと判断してしまったと思われてしまえば、
K-1審判団の名折れであるし、一見してわかりにくいだろう。

多分そのように考えた彼は、
とっさに「佐藤から減点する」というアイディアを思いつきました。

結果が、「9-8」という
リングアナのボンバー森尾氏すら読むのを躊躇してしまった採点結果になったのです。

採点をわかりやすくするためのアイディアであったはずの、「9-8」が結果的には混乱を巻き起こすことになりましたが、その時点では想像の範囲ではありませんでした。

結局はルールブックの不備の問題で、

優勢の選手を10点とし



※一度ダウンを奪った後更に攻めて二度目のダウン寸前まで追い込んだ場合も
10対7がつくことがある


という二つのルールは、
実は矛盾していたのです。

つまり、どちらかを守れば、どちらかが破られる。
いずれにしても、ルールは守られ、そして破られる

マスコミやファンは「守られたルール」には注目せず、

破られたルール」のみに目を向けるので、

結果的に

「ルールを角田さん自ら破った」

という短絡的な思考にのみ陥って批判をするわけです。

もちろん、問題があるのは、一方的に審判団であって、
その問題点とは、ルールブックに不備があったことです

しかし、その過ちをいかにして正すかということを考えることも、
やはり審判の仕事ですよね。

その結果、「9-8」というジャッジが出てきた。

一つのルールを破り、一つのルールを守った。

そして、新しい矛盾のないルールを作るきっかけになった。


結果、わりと建設的でポジティブな出来事だったんじゃ?


敗れた佐藤嘉洋選手にとっては、
大変残念なことで、
勝った側もスッキリしないと思いますが、
ロジカルに考えれば、私はそのように結論づけたいと思います。

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*お詫び:今回は、テクニカルというか、ロジカルなエントリーですので、感情的なコメントには反応しません。
ご了承ください。

*追記。上記URLの角田氏の記事は、アンチK-1分子の心無い書き込みによって、削除された模様です。
今回の採点結果を巡る角田さんのエントリーは完全に氏の好意によるものであり、決して非難を受けるような記事ではなかったのですが、結果としてこのような事態になったことを残念に思います。

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by the_kakato_otoshi | 2009-10-14 10:00 | K-1

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