日本最後の生き残り・山本優弥は、本当にペトロシアンに勝てないのか? ~K-1 MAX FINAL4~
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もうMAX決勝戦まで1週間を切ってしまいましたが、
今日から3回にわけて、K-1ファイナル4の「見どころ」にぐっと迫っていきたいと思います。
個人ブログだと思ったら、火傷するぜ!

・・・ごめんなさい。言い過ぎました。

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<K-1 MAX FINAL4・見どころを突く> 第1回 準決勝第1試合

「イタリアのブラックジャック」ジョルジオ・ペトロシアン 
vs 「狂気のクランケ」山本優弥

<考え方が亀で体は兎>

観戦するための技術的な比較検証など、この二人の間にはまるで無意味なものであるように思えます。
ペトロシアンはMAX現役最強のアンディ・サワーを技術で下した男です。魔裟斗と戦っても、勝てる確率は高いでしょう。そのペトロシアンと、日本代表決定T2位の山本優弥を比較して、どうにか語ろうと思うほうがそもそもビッグミステイクなのです。

この圧倒的な差を、山本選手自ら、このように比喩しています。

"体も考え方も亀"さん
VS
"考え方が亀で体が兎"さん

(山本優弥選手のブログより引用)


<手術1週間前>

眠るように相手が倒れていくことから、「ザ・ドクター」の異名を持つイタリア人ジョルジオ・ペトロシアンは、MAX初登場の福岡でUAE代表のロシア人ジャバル“チンギスハン”アスケロフを膝蹴りで一発オペに成功しています。

続くベスト8では、MAX初代王者で目下連勝・絶好調だったアルバート・クラウスの攻撃をほとんど受けず、一方的にダメージを与え続けて完勝。クラウスの兄は試合後、「なぜ、もっと前に出なかったんだ」と、弟を叱責しましたが、当の本人は逆上して、「だったら、やってみろよ!」と叫んだとか。
初代王者はインタビューでも「やるべきことができなかった」と意気消沈しておりました。

経験豊富なファイターですら歯が立たない「ザ・ドクター」が、日本の予選2位で繰り上げ当選した選手に不覚を取るはずがない。それが、まさに道理です。なにしろ、ペトロシアンに勝つということは、少なくともクラウスを余裕で退けなくてはならないのです。それが、山本優弥に出来ると断言するファンは、一人もいないでしょう。

それは重々承知しながらも、この準決勝は一味違うかもしれない

リアリストでペシミストの筆者も、さすがにそう思わざるを得ないのです。
そう。今宵のクランケ、ザ・ドクターの鋭利なメスが届かない領域に大きな疾患があるかもしれない……

<背水の亀、甲羅を投げ出す>

ペトロシアンは、本人によれば緻密な策に基づいて戦うタイプ。日本の中堅選手で、しかも国際経験のほとんどない山本選手は、まず完璧なカルテを見つけることが難しいでしょう。

そのくせ、アンディ・サワーや魔裟斗と戦っても遜色ない圧力を持つはずのドラゴを相手に、プレッシャー合戦では互角もしくはそれ以上。何度ドラゴのパンチが顔面を揺らしても、笑顔で打ち返す狂気のファイトは観る者を震撼させました。ダメージを受けていないのか? 怖ろしいことこの上ない。

さらにこの山本優弥、まだ若いながら同トーナメントを「自身最後のチャンス」と位置づけており、「自分はもうどうなってもいい」と命すら削る覚悟を表明までしました。「自分はどうなってもいいから、周囲の恩義に報いたい」とも言いました。
すなわち命を削る理由を自身のキャリアの為ではなく、他者への贈り物だと位置づけている。戦いによる恩恵を、自分は受けずに、分け与える、お返しすると、言うのです。

何とかしたいならば、総てを投げ出すことだ」そういったのは確かヘンリー・ディヴィット・ソローだったでしょうか。それを地で実践するということは、なかなかに出来るものではない。人はあまりにも強大な敵の前に立ちはだかると、このような境地に達するのでしょうか。それとも、山本優弥の特殊な感性?
とにかく、この漢。完全に開き直っています。迷いと、自分を捨てた人間は、強い……。

なるほど、ドラゴ戦でのわが身を省みないファイトと笑顔の意味はここにあったのかと、思いました。
開き直っている」。
背水を自ら敷いている。強くあれるはずだ。亀が、自分を守るはずの甲羅を脱いだ……。もちろん、それは山の頂上へのスピードを上げるためです。

周囲のサポートもあります。TBSオールスター感謝祭にも出場。同じ大会に出場し、キャラが濃いはずの自演乙や、渡辺一久、知名度のある小比類巻ではなく、FEGが選んだのは山本優弥なのです。そして、ブログには、毎日多くのファンの熱いコメントが寄せられています。
山本優弥のブログエントリーは、どんどんと試合に向けての密かな緊張感を増しているように思います。
もしかしたら、試合の当日のエントリーを最終回として、そこで消えてなくなってしまうのではないかという、そんな緊張感さえします。

<自ら動けないペトロシアン>

ジョルジオ・ペトロシアンとの勝負が、単なるノンタイトルのワンマッチであったなら、本来冷静で知られる山本優弥がここまでの覚悟を表明することはなかったでしょう。対するペトロシアンも格下選手相手に「絶対に油断しない」なんて眉を吊り上げることはなかったと思います。
格下が格上に勝ってしまうためには、格上の油断が不可欠だからです。二人の漢に、ここまで思わせるのですから、やはりMAXのトーナメントが持つ重量感。あまりにも重いものであるのだな、と再認識をさせられます。

「突っ張るだけ」の覚悟を固めてしまっている日本のカミカゼに対し、イタリアの天才外科医にかかるプレッシャーは実に大きい。クラウスに勝ち、サワーにも勝っている男が、まさか外国人との対戦経験がほとんどない日本ローカルの中堅選手に負けるわけにはいかない。しかも、消化試合ではなく、バチバチの公式戦。世界が見つめる、ファイナル4
しかも、1日2試合。「事故」すら許されない状況では、極めて慎重に戦うのは必然でしょう。状況に身を縮められて、消極的になってしまうであろうペトロシアンに対し、カミカゼ優弥は、ある意味で「どんな作戦でも取れる」。精神的に有利な状態ができあがっているのです。覚悟を固めた者の特権でもあるわけです。

また、格闘技とは離れますが、例えば麻雀などでは、上級者同士であればみんな理性的に冷静に状況を整理して降りる突っ張るの判断をします。しかし、素人はなんでもかんでも我が身省みず突っ張るから、思考が読めない。ゆえに、上級者は「やりにくい」と思うのです。セオリーが通じない。もしかすると、この対戦ではそれと同様のことが起こる可能性があるのでは?

<それがK-1>

この試合の見所は、ペトロシアンの美しすぎるディフェンスでも、山本優弥の抱える起死回生の策でもなく、絶対にこの試合で勝たなくてはならない、立場が違う二人の男が見せてくれる人生なのかもしれない。
それを凝縮して、9分間に詰め込んでテレビで放送する。世界一短い、罪深きリアリティショー

それは、毎週のようにツアーがある石川遼君のゴルフ中継や、年間100試合以上もあるプロ野球中継や、自クラブでのレギュラー確保のほうが選手にとっては大事だったりする日本代表のサッカー中継とは、一線を画してしているように思えます。同じ格闘技でも、米国で大資本化し思惑と札束が飛び交うアメリカン・プロスポーツになっていきつつあるMMAともまた違う。

……と、アマチュアリズムとプロスポーツの交差点。それがK-1なのかな。と、思ったり思わなかったり。


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by the_kakato_otoshi | 2009-10-21 10:22 | K-1

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