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<回って飛んでも「投げ」じゃない>
ご存知の方も多いでしょうが、角田さんのブログによれば、
「投げの許容範囲」の定義を明確にしようという説明が、MAXのルールレビューで行われていたそうです。
http://ameblo.jp/kakuda-nobuaki/page-6.html#main
大変興味深い内容でしたので、ちょっとだけ紹介させていただきたいのです。
空手などの経験者にとってはわかりやすい話なのかもしれませんが、全くの格闘技素人には退屈な話かも。しばらくお付き合いください。
まず、首相撲の状態から、相手の首に手をかけて円を描くように回り、遠心力で相手が吹っ飛んでしまう場合、
これは、「投げ」ではないと明確に説明されたそうです。
しかし、
回るときに足をかけてしまったら、これは「投げ」たことになるのでダメだよ、と。
確かに、ブアカーオはクルっと回ってサワーをふっ飛ばしてましたね。あれは足をかけてないので、OKってことです。
ただし、体重をかけたり、腰を入れたり、足をひっかけたりするような、よくK-1に参戦するMMAファイターが思わず使ってしまうような、そういうものは明確に「投げ」として定義し反則にしましょう。と。ただし、ローキックで、軸足を刈り倒すのは、OK。
<灰色を白と黒に分ける>
しかしこれは、キックボクシングのルールとしては当然の解釈ですよね。
K-1では、明確に選手に説明はしていなかったようです。
このあたりは、特にこれまで説明はしていなかったらしく、角田さんもブログの中であえて制限は少なくしていたと言ってます。
つまるところ、これまでの「投げ」に対する運用は、主審の判断に委ねられる部分が多く、例えばあまりに頻繁に投げたり、故意にそれでダメージを与えようとした場合などでは、注意や警告が出されていたと思います。
どこからどこまでが「反則行為」なのかは、審判の武道家としての経験から判断するものだった、という解釈でいいんだと思います。これまではね。
恐らく、このルールの明確化は、このところ増えているMMAファイターの参戦やブアカーオの「崩し」の頻繁さなどを鑑みて、そろそろ決めとこうよ、ということになったのでしょう。
時代の流れといえば、それまでなんですが、どんどんとルールが明確化されて競技化していく反面、武道として選手に委ねられてきた「グレーゾーン」を使って戦う選手が増えてきた。
目に余るものを反則とする審判と、どこまで使って戦うかを工夫する選手やジム。
いたちごっこの構図です。
今回のルール明確化。早い話、ポイポイポイポイ相手を投げまくって、戦う選手が打撃格闘家として美しいのか? という問題。
先日MAX王者になったジョルジオ・ペトロシアンのように、グレーなルールを使わず美しく戦う選手がナンバーワンであってほしいというのが私の願いですが、すべての選手がそうではないですからね。
そこのところに、審判団が踏み込んだ。K-1ルールの美しさとエンターテイメント性をどこのラインで守るか? という、判断だと思います。
ただし、上記の説明は選手に対してルールレビューでなされたものであり、今後ルールブックに載るかどうかはわかりません。
関係者の皆様には、「誰々に有利なルールだ!」とかそういう雑音に一切惑わされず、観る者にとって一番美しい、そして世界共通理解が可能であるシンプルな競技を目指していただきたいなと思います。
次回のワールドグランプリでは、どのようなレフェリングが見られるのか、注目しようと思います。具体的に言えば、アリスターの「投げ」に制約が入るのかどうか! ですね(笑)。
<永遠の問題>
……と、ルールといえば、話は変わって毎回出る判定への不満。
やれ、手数がどうだとか、いろいろありますが、
最近読んだ本「武士道セブンティーン」という剣道小説では、「剣道は武道であり、真剣を竹刀にもちかえたものだから、敵を戦闘不能に、斬ったと想定できるように戦わなくてはならない」という主人公と、剣道をスポーツとしてとらえ、「ポイントをいかにして取るか」だけに腐心するライバルとの価値観の差というのが、大きなテーマになっていました。
何処の世界でもこういう問題はあるのだな、と思いましたよ。
K-1でも手数が少なくてクリーンヒットが数発あった選手と、クリーンヒットはなくても手数が多かった選手と、どっちが勝ちかっていうことでいつも問題になりますからね。
むりやり打撃格闘技に置き換えると、
無駄打ちをせずにダメージを重視する戦い方をするタイプと、ダメージは関係なくて手数を重視するタイプとの違いとでも言いましょうか。武道として戦うタイプは前者、スポーツライクな選手は後者、という感じでしょうか。
古い空手出身の選手は、前者が多かったような気がします。初期のフランシスコ・フィリオなんて、ほんと、どっしりと構えて、一発に賭けるタイプでしたよね。(わかい子は知らないかな・・・)
最近は、そういう極端なタイプはあまり見ませんね。手数を重視しつつ、ダメージも与えられる戦い方が日々工夫されているからだと思います。ある意味では、戦術が研究されて選手のタイプが画一的になってきているのかもしれません。
いずれにしても、極めて高度に戦術化されている現代K-1においては(その究極系がペトロシアンでしょう)、
非常に僅差の試合が以前にも増して多くなっていますし、今後もジャッジング、レフェリングが厳しく問われていくだろうなぁと改めて思います。
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