史上最高のファイナル・K-1WGPアリーナ観戦記 ~4~
昨日は接待。更新不可でした。

史上最高のファイナル・K-1WGPアリーナ観戦記 ~4~

▼メインイベント(第10試合) トーナメント決勝戦 3分3R延長2R
○セーム・シュルト(オランダ/正道会館/K-1 WORLD GP 2005~2007優勝)
●バダ・ハリ(モロッコ/ショータイム/前K-1ヘビー級王者)
KO 1R1分48秒 ※左ミドルキック

決勝戦

左ブロックはカラエフ、アリスターというゴールデングローリーの猛者を1Rで下してきたバダ・ハリ。右ブロックは初戦でバンナという恵まれた枠から勝ち上がり、手負いのレミーを下して運もついてきているシュルト。

今、最もK-1で勢いのある二人が、決勝の舞台で戦うことになりました。

その中でも、バダの勢いは凄まじく、勝っても負けてもニューヒーローの名は日本に、いや世界に轟くことになるでしょう

バダ・ハリは準決勝で「外敵」を迎撃し、完全にアリーナの観衆を自身のサポーターとしてしまいました。入場からバダ・ハリコールが鳴り響き、まさに彼の為の舞台の準備は整ったと言えます。

ちなみにこの大会、海外の反応もよいようで、HDNetによる英語圏への安定的な中継の提供がかなり功を奏しているようです。英語の掲示板などでは、この大会からK-1を見始めたようなファンからの熱烈な書き込みがあるなど、徐々に浸透している様子も見えました。

その立役者はなんと言ってもゴールデンボーイ。ファンと自身のために、あえてリスキーなスタイルを取る真の英雄です。やるかやられるかの世界に自ら身を置き、相手にもそれを要求する。これほどまでのプロのファイターはいないでしょう。
対するセーム・シュルトは、不動明王像が如き怖ろしい目つき。両雄が並び立ち、今年2度目の頂上決戦が開始されました。

この対決、ただ単にK-1の決勝戦というだけでなく、ゴールデングローリーとIt’s Showtimeという仲の悪い2大オランダマネージメントのエース対決でもありました。

<ゴールデングローリー>シュルト、アリスター、カラエフ、ジマーマン、サキ、ハリトーノフ、ハリッドなど
<It’s Showtime>バダ・ハリ、マヌーフ、ダニエル・ギタ、ボウジディ、ポトラック、ヴァーホーベンなど


あらゆる意味で、覇権を賭けた争いなのです

試合開始直後、あの5月のアムステルダムアリーナ決戦と同様に、バダ・ハリが速攻を仕掛けます。

シュルトは真っ直ぐ下がるしかなく、バダはコーナーにつめてスーパーヘビー級とパワーとミドル級のスピードで台風のようなフックの嵐。準決勝でダウンを一回もらっているシュルトですから、見ている側もその再現を期待しました。シュルトはスウェーというより、もう下がっているとしか見えませんでしたからね。

しかし、セーム・シュルトのリーチと背の高さはやはり並ではない。「地上の」どんなファイターも、バダの攻撃をいなすことなどできないでしょうが、地上から遠く、高き地に浮かぶ巨神兵の弱点に、あと数センチ届きません。

シュルトの反撃は、たった一発の左ジャブから始まりました。ノーモーションで出すジャブ。130キロの巨体から放たれるそれは、並のものではないといわれています。バダはたった一発でダウンし、その後は捨て身で摩天楼越えに挑戦しますが、ハイキック、続いてミドルキックでもダウンを奪われ、ジ・エンド

個人的には、一度ダウンを奪われた後、バダ・ハリは立て直す時間を取るべきだったんじゃないかと思っています。一気に勝負を決めに行こうとしたミスだったのではないでしょうか。シュルトはバダが熱くなっているのがわかってからは冷静でした。

それにしても恐るべきはシュルトのジャブ。

かの最凶王者は、あの左ジャブで幾多の強豪をマットに沈めてきましたが、今回も炸裂してしまいました。彼は130キロ210センチの巨体を持っていますから、フックなどの大振りな攻撃はスピードが伴わないので、当たりません。

ゆえに、コンパクトに構えて、初動から打撃までの時間を短縮しているような戦法です。確かにシュルトがもし100キロ190センチのファイターであれば、バダには歯が立たないでしょうが、現実に130キロ210センチの巨体を持ち、それをある程度自在に操って効果的に使う練習ができている選手は、やはり強いのです。

それと同時に、シュルトの凄いところは「同じ失敗を繰り返さない」ことだと思います。攻め続ける相手に組み付いていた時代、それでは判定で勝てないことを悟れば、自ら間合いを空けて距離感を改めました。今回も、バダに5月に負けていた失敗を、きっちり克服してきました。レミー同様、クレバーなファイターです。

それでも今回、ほとんどのファンにとってのMVPはバダ・ハリだったことでしょう。
HDNetの実況、マイケル・シャベローは自身のツイッターでこう言っています。
「もし(バダで)エキサイトできないとしたら、きみは鼓動を止めているんだよ」

ファンはシュルトにも、バダにも、アリスターにも、レミーにも、そしてその他のすべてのファイターに拍手を送りました。私は、今日はリザーブなどを含めて一日9試合も選手と一緒に入場したバス・ブーン氏にも大きな拍手を送りたいですね。この日一番忙しかったのは彼かもしれません。

最後のセレモニーのマイクで、最後に病死したスパーリングパートナー、ヴィタリ・ミトゥについてコメントしましたが、通訳はそれを訳さず、マスコミも通訳の言葉だけを記事にしてしまったのが、不満です。特にマスコミは自分の耳で言葉を聞くのが仕事なんじゃないだろうか。かつて、バンナが映画の撮影を中抜けして試合に出ることをゆるしてくれたアラン・ドロンへの謝辞も、通訳は訳しませんでしたからね。ほんとにお前、通訳か? と。それとも、ヴィタリ・ミトゥが誰なのか知らなかっただけだろうか。

バダもマイクで、「来年こそ期待してください」と語りましたが、今年も十分楽しませてもらえました。ありがとう。

帰路、友人とアリーナの余韻に浸りながら話したことですが、私はバダのエンターテイメント性に溢れる戦いを思い出し、「30歳まで現役でいられるのかなぁ、あの人」なんて思ってしまいました。

今回の大会は、まるでジェットコースターのようで、世界でもっともエキサイティングな格闘技がK-1であることを証明した一夜だったと思います。この大会がきっかけで格闘技を好きになった人は世界中に必ずたくさんいるであろうことを、横浜で確信しました。

この大会を観て、魔裟斗引退以降のK-1に不安を感じる者はいないでしょう。我々にはバダ・ハリというスターがおり、シュルト、レミーという強豪がおり、エロジマン、サキなどの新鋭もいる。再び黄金時代を迎えたと言ってもよいでしょう。その新しい時代は、「ゴールデンボーイ」の先鞭によって始まったのです。

そして次の以降の展開に大いに期待したい。そのように思いました。

来年以降の話をしたいと思います。

マイケル・シャベローによれば、2010年にはK-1ラスベガス復活に向けても動き出しており、またロシアなどを含めて欧州ではいくつかの予選を行う予定がもう立っているとのこと。主催者も欧州のプロモーターと予選について協議を重ねてますね。

しかし、少なくとも来年以降しばらくはFEG主催で欧州予選を開くことはなさそうです。そのかわり、プロモーターに予選開催をリクエストして、現地でやってもらう、と。

日本予選も、KRUSHなどでやればいいんじゃないでしょうか。ヘビー級の日本人ファイターは多くないですし、淘汰が進んできた今、日本人だけで一つのイベントにするのは難しそうですからね。


いずれにしても、今大会は史上最高のGPの一つに数えられることは間違いなく、
K-1こそが日本の格闘技の代名詞である」ということを高らかに宣言したものだと思います。

一言で言いあらわせば、満足した。ということです(笑)。


今年もあとわずか。格闘技界はあと魔裟斗の引退イベントを残すのみとなりましたが、次回からは海外情報復活と、K-1WGP2009の採点を行いたいと思います。


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by the_kakato_otoshi | 2009-12-11 16:07 | K-1

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