まずは新年早々、当ブログにも一番反応が多い青木vs廣田について見解を述べたいです。
これを片付けてから、これまでの魔裟斗の存在と功績について、いろいろ書きたいと思っています。
えーっと、知らない人がいるかもしれないので、いちおー書いておきますが、「青木vs廣田」の出来事とは、
Dynimite!!での試合中、青木選手が、廣田選手の腕を折り、その後に相手を侮蔑する行為に及んだことについてです。(その後、侮辱行為については謝罪、腕を折ったことに関しては「故意」と認める)
最初に宣言しておきますが、
「是か非か」という議論に参加するつもりはないです。つまり、今回のエントリーでは、青木選手を批判もしないし、肩も持ちません。まぁ、ネガテイブには捉えていますけど。
以下は、この件に関して、「客観的に思ったこと」になります。
寝技の技術のことや、DREAMとSRCの対抗心については、いろいろあったんでしょうけど、経緯が分かりませんが、
会場観戦者はともかく、一般視聴者が見たのは、テレビで放送されたすべてですからね。
テレビ的には、メインカードの石井慧や、魔裟斗vsサワー戦後に「その他のカード」という扱いで放送された試合の一つです。
放送された試合の順番は、サワーに魔裟斗が勝ったその後に煽りVTRもなく、ゴングから始った試合が3つ。
まず、メルヴィンが三崎をKO。
次に、アリスターが藤田を軽く膝でKO。
アリスターは、藤田が起き上がれないために、心配そうに見下ろしていて、なにやらスタッフと話をしていたのが印象的でした。
そして、青木が廣田の腕を極めて、よくわからないうちに試合終了。腕が変なふうに曲がっていたので、ああ、折れたのかな? と格闘技をよく観ている人にはわかったでしょうが、普段MMAを観ていない視聴者には、廣田の腕が折れたことよりも、極楽鳥のようなカラフルでダサいスパッツの男が、中指を突き立てて、まるで中国雑技団に入りそこねた地方の曲芸師が如く跳び回っていたことだけが印象に残ったことでしょう。
番組は第3部に入っており、視聴率としては魔裟斗の試合が終わって他の局にダダっとチャンネルが変わってしまった後・・・のことになります。
したがって、
桜庭が秋山に「すっっごいスベルよ!」と抗議したり、亀田vsランダエダで変な判定があったりしたときのようなクレーム騒ぎにはならなかったわけですね。そもそも、青木真也という選手をどれだけの日本人が知っているかがかなり疑問ですし、相手の廣田選手に至っては、ほぼ無名ですから。というか、私も12・31まで知りませんでしたし。
つまり、後回しで煽りもなく放送されるほど、アンダーカード中のアンダーカードだったため、
全く注目されていなかったことが、今回の不幸中の幸いだったと言えるんだと思います。
IFの話ですが、
もし、吉田秀彦が、石井慧の腕を極めて青木のように折っていたとしたら? その後、侮蔑的な行為を公衆の面前で行ったとしたら?(もちろん、吉田はそんなことをする人格ではないですが)
これはもう世間一般様を巻き込んだ大騒ぎになったことでしょう。容易に想像ができませんか?
柔道界も巻き込んで、壮絶な論争になったことは想像に難くない。
格闘技そのものを揺るがすことになったでしょう。
しかし、青木vs廣田では、そうはならなかった。
格闘技ファンの間でのみ、議論になっていることです。
もし、亀田vsランダエダ戦のような判定が、アンダーカードで、名前の知られていない選手同士の戦いで下されていたとしても、さして議論になることはなかった。やくみつるが選手のオヤジと公開議論することも、元王者たちがテレビで意見することもなかった。判定への疑問を口にした解説者が降ろされることもなかった。
注目されているか、いないか、というのは本当に競技を左右するほど重要なんですね。
そのことが身にしみた出来事だったのではないかと思います。
実際は、かなり影響力のある出来事だったと思います。
王者同士がその団体の誇りをかけて戦い、その結果が、あの侮蔑行為だったのですから(苦笑)。
その世界を代表する第一人者の振る舞いとしてどうかということです。
他の競技に置き換えてみましょう。
例えば、カーレース。
つばぜり合い、タイヤとタイヤがこすれるほどのサイドバイサイド。激しいレースの末、いずれか一台がコースを外れクラッシュし、骨折するほどのケガをしたとしましょう。その後、勝ったほうのドライバーが、わざわざクラッシュした車に詰め寄って、中指を立てて踊っていたとしたら?
例えば、ボクシング。
世紀の一戦、亀田兄が王者になったあの試合の後、中指を立てて内藤を侮蔑したとしたら?
例えば、サッカー。
メッシや、クリスチアーノ・ロナウドが、ゴールを決めた瞬間、GKに中指を立てて舌を出しながらバク宙したら?
例えば、K-1。
セーム・シュルトがバダ・ハリからダウンを3度奪った夜、賞金のプレートを高々と掲げながら、中指を立てて小躍りしたら?
例えば、フィギュアスケート。
浅田真央ちゃんが、優勝した後、大喜びでミキティに向けた中指を立てたアピールをしたら?
こりゃもう大騒ぎですよ。(想像すると笑えますが)
新聞、テレビはこぞって、バッシングを開始。かつて朝青龍関にメディアスクラムを組んで批判合戦を繰り広げたあの時以上の騒ぎになることは間違いありません。
これからの競技を担う子どもたちに、親は選択肢としてそのスポーツを取り上げることでしょう。
今回、MMAにとってみれば、最悪の映像であったわりに、事件が起こったのが、注目度の低い青木vs廣田で本当によかったのではないでしょうか。
青木選手を「何の問題も無い」と思っている方は、
彼がこれ以上世間に知られることなく、ひっそりと戦っていくことを望まれたほうがよい。
ということです。
そうであれば、たとえ彼が「タップしなかったので首の骨をORIMASHITA」と言ったとしても、
世間様はその事実に気づくことなく、大好きな格闘漫画のような、残虐ショーを見続けられるということです。
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