格闘技スター論? 佐藤嘉洋はブレイクできるか
<大きなMAXの功績。スターは再び現れるか?>

いよいよ来週末に行われるK-1 WORLD MAX -70kg Japan Tornament。

他の格闘ブログなどでは、魔裟斗引退後のMAXの存在意義を問う声がありますが、
これまでの実績を考えれば、ゼロ年代のあらゆる格闘技興行のなかで、MAXほどK-1、そしてキックのファンに貢献したものはないでしょう。

パイオニアが引退した今一度、ジャンルを超えたスターは現れるでしょうか。


<テレビとの関わり>

理由の一つは、それまでの日本のK-1、MMA含めた格闘技界にはヘビー級以外の価値観がなかった。それを覆してみせたからです。(ボクシングの世界では軽い階級の人気日本人選手の活躍は腐るほどありましたが)

フジテレビに断られたMAXという企画を放送にこぎつけたTBSを評価すべきでしょう。
魔裟斗の活躍で、中量級にもスポットが当てられ、そこから須藤元気や山本KIDというジャンルを超えて広く認知されたキャラクターが誕生したことはまだ記憶に新しいところです。

彼らがいたからこそ、総合格闘技HERO'Sは地上波用の企画として放送され、その枠をDREAMが受け継いでいるのです。ですから、率直に言えばK-1MAX無くしてDREAMはありえなかった。K-1ファンのみならず、今の日本ではMMAファンですらMAXには足を向けて寝られません。


<海外への進出>

もうひとつ、MAXの大きな功績は欧州への波及。数年前から、西欧では70キロ契約の試合が増え、MAXで活躍した選手がメインイベンターとして幅を利かせています。

アンディ・サワー、アルバート・クラウス、ジョルジオ・ペトロシアンなどは言うに及ばず、オランダでのブアカーオ人気はもはや信仰に近いものがあります。ウクライナでは、アルトゥール・キシェンコにわざわざ大臣が会いに来るなど、知名度を増やしているようなのです。

It's Showtimeのサイモン・ルッツなどは、契約下の選手をK-1に出場させることによって「箔」をつけ、自前の興行での売りにしています。ジョルジオ・ペトロシアン、ヘビー級のダニエル・ギタ、ジャバット・ポトラックなどもそうした選手です。

ヘビー級優位だったオランダでも、中量級の面白さを広めたMAXの大きな功績だと思います。


<レベルが極まったMAXのこれから>

初期こそいろいろなキャラクターが活躍しましたが、世界的にも国内的にも、年々レベルが高まり、「面白い選手」がほとんど通用しなくなったMAX。
昨年、攻撃をほとんど受けず、かつアグレッシブな戦いができるようになってしまった、完璧超人ペトロシアンの登場によって、競技としては完成されてしまった気がします。魔裟斗や佐藤嘉洋のレベルですら、ベスト8あたりで四苦八苦という状況になりました。

「日本人が活躍できる階級」という触れ込みは、もはや過去のものでしょうか。

いえ、実はそんなことはないのです。佐藤嘉洋がトップクラスで通用するのはもちろんですが、城戸康裕はオランダ予選覇者ケスナーや韓国王者に圧勝していますし、日菜太はザンビディスやアスケロフというベスト16レベルのファイターといい勝負になっています。
もちろん、MVP的な活躍を魅せた山本優弥の、ドラゴ撃破も忘れてはならないでしょう。
レベル的には魔裟斗と佐藤嘉洋だけが突出しているとは、私は全く思いません。やり方によっては、城戸康裕や山本優弥は魔裟斗にだって勝てるレベルだと思います。

彼らがより世に出るには、何が必要でしょうか。


<価値観>

よく私がこのブログに書くことなのですが、それはパイオニアとして、価値観をひっくり返すことです。

プロレスのような格闘ゴッコ遊びが幅を利かせていた時代に、パンチとキックで、海外の100キロクラスのファイターが凌ぎを削るK-1がそれまでの価値観を一変させましたが、これまで生み出されたスターというのは、実にそういう「価値観の転換」を成してきた者たちばかりなのです。それはまさに時代との戦いに勝利してきた者たちの歴史となります。

前述の須藤元気、山本KIDは、それまで見慣れた「K-1スタイル」を一変させるファイトスタイルで日本の若者を魅了しました。かつてのボブ・サップもそうです。K-1内の序列の頂点にあるホーストを倒すことで、価値観を逆転させました。今大会で言えば、長島☆自演乙☆雄一郎もそのパイオニア系統の選手でしょう。そうした発想と序列の逆転こそが、彼らをスターにする唯一無二の方法だと言えます。(もちろん、パイオニアでなくてはなりません。長島の後に、コスプレを売りにする選手が出ても、二番煎じとしか思われないからです)

価値観をひっくり返す。
言うは易く行なうは難しです。

難しいのは、須藤やKID、サップ、長島が意図的、意識的に価値観の逆転を狙って行っていたわけでも、もちろんプロデューサーの谷川氏や石井館長が目論んだわけでもないんですね。偶然と偶然が重なってそうなったものなのです。今後も、「神の見えざる手」が働くのを待つより他にはないのです。

スターが出ないことを嘆く格闘技ファンが谷川氏などに八つ当たりをするのをよくネット上で見ますが、私はスターの誕生とプロデューサーの能力とは何の関係もないと思っています。プロデューサーはすでにあるものを如何に生かすかが仕事であって、育成はまた別の話だと思っています。K-1は多くの原石をすでにリングに上げていますが、原石が原石のままなのは、それは誰が悪いという話ではなく、神の見えざる手が働かないからでしょう。


<佐藤嘉洋の見解>

最近アップされたジョルジオ・ペトロシアンvs佐藤嘉洋戦のPVをご覧になりましたでしょうか。
Vの中で佐藤選手が語るには、

「次は魔裟斗次は魔裟斗と言われている内に僕らは戦ってきた」

む、果たしてそうだったでしょうか。

私の記憶が確かならば、須藤元気や山本KIDがいたころは、「次はKID」「次は元気」という煽りもあったと思います。

彼らは元々MMAファイターであって、実力的にはMAXの水準に追いついてはいなかったのですが、
ちゃんと売り出されていました。

原石が金塊だったとわかれば、誰もが飛びついてくる。
結果的に彼らは成功した格闘家になりました。

彼らは彼らなりの考えがあったのでしょうが、やはり発想が常人ではなかった。

常識人たる佐藤嘉洋選手に、価値観をひっくり返すパイオニアになれというのは、至難の話かもしれません。。。


<vsペトロシアン>

ペトロシアンはある意味ではパイオニアです。
PVで佐藤選手は「あそこまで攻撃を受けなければ、MAXでも戦えるんだ」と言っていましたが、
佐藤嘉洋本人はファイトスタイルをK-1向きにシフトするために、ある意味では自分のファイトスタイルを捨ててきた経緯があります。

しかし、”ザ・ドクター”は攻撃を受けないディフェンスの精度を落とさず、かつアグレッシブに戦い優勝する「佐藤嘉洋ができなかったことをいともあっさりと全部やってのけた」。
目の前のモヤであった魔裟斗という名の霧が晴れると、そこに巨大で頑健なペトロシアンという名の壁が立ちはだかっていた。そんな感じでしょうか。

佐藤嘉洋はMAXの価値観を静かにひっくり返したイタリア人をさらなる発想で打ち負かすことによって、
新しいスターへのチケットを手に入れられるような気がします。

今後のMAXを占うカード。
ジョルジオ・ペトロシアンvs佐藤嘉洋には要注目です。

そこでスターは生まれるのか。


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by the_kakato_otoshi | 2010-03-17 11:13 | K-1

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