メタ視点と帰属意識。二通りの格闘技観戦
多少、自己分析的なエントリーなので、光の速さでスルーしてもらっても全然構わないです。

<自分と青木ファン(ジャパニーズMMAファン?)の違い>

前々回のエントリーで、青木選手の敗戦は大したことではないのではと書きましたが、やはりネット上では落胆し悲観している方が多いんだなぁと思いました。興味深い現象です。
ふと思ったのですが、例えばK-1ではヘビー級王者の京太郎とMAXでは佐藤嘉洋が日本人のトップですが、仮に彼らがオランダで試合をして負けたからと言って、K-1ファンの何人が「K-1の危機だ」と思うのでしょうか。ほとんど思わないことでしょう。

<帰属意識を持つか持たないか>

青木に肩入れするMMAファン(そうでないファンも若干含めて)は、非常に帰属意識が強いんですね。団体対抗戦が好きだし、「青木vsメレンデス」ではなく、彼らにとっては「日本MMAvsアメリカMMA」と捉えているのですよ……。当のアメリカ側が同じように捉えているかというと、意識が違うんじゃないかな。日本のチャンピオンが、海を超えて本場に挑戦に来た。くらいの気持ちではないでしょうか。

<島国ニッポン人の特性か? それとも?>

やはり島国日本、欧米伝来の個人主義が根づいて久しいわけですが、たまに持ち前の島国根性、帰属意識が強くなる。ある意味では非常に日本人らしさを感じるものではありますが、次元としては2000年代初頭のMMAによる「プロレスvsK-1」と変わらない。

当時のプロレスファンはプロレス世界に帰属意識を持ち、プロレスラー出身であるというだけで応援していたことを覚えています。「プロレスハンター」の前に無残な惨敗を重ねても、打倒K-1、打倒ミルコ、打倒地上波と拳を振り上げました。

一方のK-1ファンがどうだったか。自分の周りに格闘ファンが少なかったため、あまり覚えていませんが少なくとも私は「キックボクシングの技術を持った選手がMMAという舞台でどういう試合ができるか」にしか興味がなかったことは確実です。K-1選手を応援するという意識よりも、誰がMMAで実力を発揮できる選手なのかを自分の眼で観たかったのです。

<閑話休題>

話はずれます。

自分は少なくとも明治前後までさかのぼっても家系図には日本人しかいない日本人ですが、どうにもこの例に挙げたプロレスファンのような過剰な帰属意識が苦手です。

例えば、学生の部活動などはその典型で、体育会系の縦社会、帰属意識を強制し、応援したくもないメンバーでも表面上はバックアップしなくてはならない。団体競技、ベースボールやフットボールならばそれは必要なチームワークです。では、格闘技は? これぞ個人競技の典型であり、国籍や所属、バックボーンなどで色分けしすぎるのはあまり意味のないことではないかと思うわけです。

そんな意味で私がMMAではなくK-1による深くなったのは、選手が孤高の個人であったからかもしれません。「看板を背負う」とかツマラナイ意地の張り合いがなくて、すんなり入り込めた。
それが、居心地よかったのかも。
武蔵が唯一の日本人でありながら、ファンにはあまり支持が広がっていなかったことからもそれは言えると思います。翻って、柔道だのU系だのなんだのと、看板や所属で煽っていたジャパニーズMMAは気持ちが乗らない。敬遠しました。

(アリスター・オーフレイムが昨年K-1WGP決勝に参加した際に、DREAMの笹原EPやファンがやたらとアリスター頑張れって感じだったのは覚えてます。長年K-1に出続けているアーツやバンナがK-1に帰属意識を持つならわかります。しかし、歴史も浅く本人も数回参戦しただけのDREAMにアリスターが帰属意識を持つことはないと思うんですけど……)

<もしも私が>

もし私が熱狂的なMMAファンであったとすれば、先の青木の試合後勝者の経歴などを調べまくり、それをブログ等で紹介しようとすることでしょう。少なくとも「日本の希望が立たれた。日本にとって痛い敗戦である」などとは書かないことは明白です。

もし、青木が最強なのだと思っていたのであれば、それを超える選手がいたことに喜びを隠しきれないのではないでしょうか。なぜなら、格闘技観戦とは特定の団体を応援するものではなく、あくまで最強を追い求めるロマンであるからです。

<個人と集団>

私がよくブログでIt's Showtimeの選手だから……とかゴールデングローリーだから……と書くのは、そういったグループに興味があるのではなく、同じグループ同士では積極的に試合が組まれることはないし、所属によって戦えるリングも決まってくるので、今後の予測などもしやすい。人間関係も見えてくる。団体ではなく個人に興味があるゆえに、付加的に言及しているに過ぎません。

佐藤嘉洋選手が「K-1を代表してIt’s Showtimeに行ってくる」という話は正直ピンとこないのです。所属や競技じゃなくて、佐藤嘉洋個人が世界一の立ち技格闘家になるために行って欲しいと思います。元々、その大義名分でK-1に出たんじゃなかったのかな?

<メタ視点の自分、所属意識のジャパニーズMMAファン>

で、話は強引に戻しまして、結局表題の青木ファンと自分の違いはなにかと言うと、青木ファンは選手と同じ帰属意識を持ち、一体化して応援するのが楽しみであり、自分はメタ視点で俯瞰するのが楽しみ方なのだという点です。

青木選手はDREAMという所属団体への帰属意識を提示し、それにファンが乗っていくという手法を主催者のREとともに戦略的に取っていきました。日本人MMAファンはそれが好きだからと読んでいるのでしょう。

青木選手が敗戦したことで、「日本MMA(=DREAM)」の危機だと考える人が多いのは、「強さ」という「帰属意識をつなぎとめるための求心力」が低下したと考えているからですね。

翻ってK-1は世界一を決める舞台として、参加した選手すべてにスポットライトを与えることが可能です。国籍や肌の色ではなく、ファンはあらゆる地域の選手に興味を持ち、世界最強の立ち技ファイターが生まれる過程をメタ視点で共有するコンテンツだと思いますし、そうあって欲しいと思います。その中で、好きな選手、嫌いな選手などが生まれてゆくのは自然なことです。

誰が優勝しようとWGPは年に一回開催され、つまらないと言われるシュルトが何度優勝しても、やっぱりまた次の年には王者を決めることができる。日本人が出場しなくても、歴史とコンセプトによって成り立つのですね。

どちらの楽しみ方がどうだという話はしませんが、つまるところ大きく隔たる趣向の違いというものを感じた出来事だったのです。


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by the_kakato_otoshi | 2010-04-21 11:38 | K-1

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