7月5日のK-1 WORLD MAXは、3大会連続で日本人選手が中心の大会になりました。
63キロ級のファイターたちが、「今度こそ俺たちが主役の舞台が始まる」と、息巻いておりますが、まだそれはちょっと気が早いのではないかと思います。
おそらくテレビ的な主役は長島☆自演乙☆雄一郎であり、キックボクシングとしてのメインは佐藤嘉洋vs山本優弥でしょう。
<自演乙勝手に応援キャンペーン実施中>
今日のテーマは、「私が自演乙を応援する訳」です。アンドレ・ジダと戦うことになった、今年の日本トーナメント覇者です。
「テレビ的な主役」自演乙が今後ポピュラーな選手となっていくためには、ジダに勝利することはもちろんですが、どこまで自身の異質さを出せるかという点にかかっていると考えます。
恐縮ですが、私が何度もブログで書いている「権威を破壊した者が次のスター」という持論を持ち出させてもらいます。「プロレス」と「ボクシング」という日本の二大権威構造を破壊したK-1黎明期の選手たち。ホーストという権威を破壊したサップ。ヘビー級という権威に挑戦し続けた魔裟斗。魔裟斗という権威を追いつめた山本KID。K-1のファイトスタイルを斜めから壊していった須藤元気などがそうです。歴史は前任者を否定することで、紡がれているのです。
いままさに、権威の破壊が行われるかどうかの瀬戸際。自演乙によるK-1 WORLD MAXというイベント自体の破壊と再建設が始まろうとしているのです。
昨年までメジャーな格闘団体やファンが全く接点を見出さなかった「アニメ・ゲーム文化」と「格闘技」の融合。これを「わざと」ではなく極めて自然な形で両方の属性を有していた男が「たまたま強かった」ことから、この潮流が生まれました。ただのコスプレではなく、コスプレの対象となるアニメ・ゲームを知り抜いた上での登場。最近良く見られる芸能人の「売らんが為のオタク迎合」ではなく、「ほんまにそっちの人」だったために注目されました。
<権威を破壊せよ>
であるがゆえに、本人は大真面目。本気のコスプレをし、本気で戦う。世間や格闘ファンにとっては一見不真面目で合理性を欠いているように見えるこの行動が、実は本人にとって一番自然という不思議。ニコ動で人気のボーカロイドのコスをし、ネギを持ってリングで踊る「そっちのひと」にしかわからないパフォーマンス。これぞまさに権威の破壊。痛快劇場の幕開けです。
むさいおっさんの溜まり場だった格闘技の会場を、若い十代・二十代のファンで染め上げたのがK-1でありPRIDEでした(PRIDEはその後DREAMへ移るにつれ、年齢層が上がってしまったが……)。そこからさらに発展し、「魔裟斗ギャル」なる黄色い歓声を持ち込んだのがMAX。そして、2010年代長島が新たなる客層「オタク層」の興味をここに持ち込みはじめているのです。
そもそもアニメやゲームのオタクと、キックや格闘技のマニアは興味の対象が違うだけで、本質的に「深くハマる」という気質は同じはず。ならば、若いアニメオタクが自演乙という小窓を開いたために、キックの世界にディープになっていくという過程はあり得る話です。サップで初めてK-1を知った高校生が、10年後にはムエタイに深くなっている……それと同じ役割を長島には期待しています。勝手に。
はい、私が何を言いたいかお分かりでしょうか? 賢明な読者諸氏には完全に見抜かれていると思いますが……。
<シェアの簒奪に意味はない>
優劣をつける問題ではありませんが、「63キロを主役に」と頑張る軽量級のファイターたちが戦っているその先にあるものは、所詮既存のファンの興味……つまり「シェアの奪い合い」に過ぎません。長島(だけではありませんが)が戦っているのは、「シェアの拡大」なのです。
K-1ファンである私が応援すべきなのは、当然長島☆自演乙☆雄一郎なのです。シェアの奪い合いをしているだけでは、ジャンルの発展はありません。
「MAXを潰さない」
そんなことを長島には言って欲しくない。一度潰して、再構築するくらいの意気込みで頑張って欲しいと願う次第です。
そしてそれと同時に行われる佐藤嘉洋vs山本優弥の一騎打ちも、非常に重要な戦いです。長島という小窓から入ってきた客を世界ベスト4まで上り詰めた二人による死闘で、惹きつける役割が与えられるのです。特に「名勝負製造機」たる山本優弥の役割は非常に大きい。
私の考えですが、70㌔ファイターには「シェア拡大」が。63㌔ファイターには「固定客を掴む」という別々の意味づけを与えられているような気がします。
(「シェア拡大」が期待できそうな63㌔ファイターは才賀紀左衛門しかいませんから、そう思うんですけどね)
そんなわけで、ちょっと7月まで自演乙応援キャンペーン実施中です(笑)。
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