【リクエスト】声に出して読みたいK-1語録②
名勝負シリーズ第2弾は97年のワンマッチ。フランシスコ・フィリオvsアンディ・フグです。

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分裂前の極真会館は世界中に門下生を置く巨大な組織でした。

4年に一度開かれる極真の世界大会は格闘技ファンにとっては常に注目の的であり、
立ち技格闘技の頂点とも言われていたのです。

まさに神聖ともいえるその大会を外国人として始めて優勝したのが、ブラジルの怪物フランシスコ・フィリオでした。

90年代後半飛ぶ鳥を落とす勢いのK-1グランプリでしたが、
未だ空手の頂点が参戦していないとあって
「極真vsK-1」を望む声が高まっていたことを記憶しています。

フランシスコ・フィリオの登場は当時のK-1ファンにとっては信じられない出来事だったと言えるでしょう。
しかも、石井館長が用意した対戦相手はかつて極真の世界大会で準優勝し、その後破門されたアンディ・フグだったのだから平静ではいられません。しかも空手時代の一度目の対戦ではフィリオが勝っています。

異種格闘技戦の場としてのK-1が迎えたひとつの頂上とも呼べる試合だったと思います。

なにしろ他の流派ではなく、極真なのですから。
当時からK-1を席巻していたオランダキックは黒崎健時が大山道場のオランダ支部長で教えた門下生たちが発展させたものです。チャクリキのトム・ハーリック会長もボスジムのヨハン・ボスも、ゴールデングローリーのコー・ヘマースもみんなオランダ極真です。

ゆえに、彼らの弟子であるアーツやホーストすらも、元をたどれば極真に行き着く。そのように言われていました。

いやそもそも石井館長はもともと極真なわけで、「K-1」とは極真の支流であると表現しても良いわけなんです。つまりフィリオのK-1出場は、「支流」に「本家」の王様が参戦したという歴史的な出来事だった。K-1がいかに「極真最強伝説」にとって危険な存在であったかご理解いただけると思います。

1997年7月20日の「K-1 DREAM ’97」にて、その夢の対決は実現しました。

この大会で”悪童”ピーター・アーツが”バトルサイボーグ”ジェロム・レ・バンナをハイキックでKOし、”拳獣”サム・グレコが復活した”伝説の拳”ブランコ・シカティックをラッシュで失神に追い込むなど空前の盛り上がりを見せ・・・・
そして第5試合、その一戦がやってきたのです。

正道の胴着の下にスイスのトランクスのフグ。
極真の胴着の下にブラジルのトランクスのフィリオ。

互いに別々の組織と国を背負い、
赤と青のグローブを交える。このコントラストが見事だったんですよね。

序盤互いに間合いとって様子をみる二人のファイター。時折試し蹴りのように繰り出されるローキックの乾いた音が鳴り響きます。
なにか互いの隙を探り合うかのような小刻みな動き。
フグは小刻みに体を揺らして攻撃を誘いますが、フィリオはどっしりと構えて重いミドルキックくらいしか出しません。

固唾を呑む

とは、まさにこのような状態のことを言うのだと思います。
どちらが勝つのか。
互いの歴史や因縁を含めてまさに勝敗のみがこの試合の論点であり、それ以外のスパイスは必要ではありませんでした。
袂を分かったこの二人が同じリングにたっているというだけで十分に刺激的だったのです。

極真を飛び出して大金と成功をつかんだフグを追いかけてきたフィリオという見方もできるし、
破門されたフグが本家の現役王者へのリベンジを果たそうとしているという見方もできる。
ファンの心理によって無限に想像力を働かせられる不思議な魅力があるマッチメイクでした。

しかし「極上の膠着」はわずか2分で幕を閉じます。

フグが前に出てフィリオが下がります。
そこでフグは軽くワンツーで追い打ちをかけたのですが、その瞬間。。。。。
フィリオの放った手打ちの右フックがフグのこめかみを捉えました。

ばたん。

なんとその一発でフグはマットに大の字になり、
そのまま無情にもテンカウントを聞いたのです。

なんという衝撃的な結末!!!!

積み上げられてきた二人の物語は、わずか一発の右フックでエンディングを迎えました。
これがノンフィクションであるスポーツ競技の面白さなのです。いかなる一流の作家でも、これほどまでに見る者の想像を超え、衝撃を与え、かつ余韻を残す結末は書けないことでしょう。

勝利したフィリオには極真スタッフが抱きつきに殺到。そのシャツの背中には「一撃」の文字がプリントしてあり、これがまたそのシチュエーションにぴったりとフィットしていました。

一撃伝説の幕開けでした。この勝利がなければ、グラウベ・フェイトーザ、ニコラス・ペタス、エヴェルトン・テイシェイラの参戦もなかったことでしょう。

今日の声に出して読みたいK-1語録はゴングが鳴った瞬間の三宅アナの言葉。

「フランシスコ・フィリオ対アンディ・フグ。6年の時を超え、今二人がこのリング上グローブをつけて相まみえます!!」

K-1がまだ空手の大会の延長上にあった頃を忍ばせる、時代を感じさせる実況文句です。

それにしても、今は微妙な極真ですが……さらなる怪物がいつかまた現れて欲しいものです。




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by the_kakato_otoshi | 2011-02-28 06:27 | K-1

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