最年少の若武者……エロール・ジマーマン【FINAL16 FIGHTERS】
FINAL16出場者ファイル6  「最年少の若武者

エロール・ジマーマン

出身国・オランダ 身長・190センチ 体重・100キロ
2005年以降の成績・4戦4勝。3KO(TKO含む・K-1WGPのみの成績)。
所属・ゴールデングローリー
タイトル・K-1WGPアムステルダム2008優勝
ニックネーム・ゴールデングローリーの若武者

<未知の破壊者>

K-1WGPパリ大会において鮮烈なデビューを果たしたナオフォール・“アイアンレッグ”・ベナゾーズがその華麗な足技で異国日本のK-1ファンを魅了したのは2005年のことでした。
未来の王者とまで幻想が膨らみながら、2006年ブレギーに敗れたあたりを最後に、K-1に登場しなくなりました。「干されたのでは?」という噂、根拠のない憶測が飛び交うなか、海外キックマニアらの情報によってナオフォールが試合に出なくなった理由が徐々に明らかになっていきました。
「復帰戦でとある若い選手と対戦し、頭蓋骨骨折の大怪我を負って引退状態」
というのが、どうやら事実らしい……のです。
その若き対戦相手の名が、今回紹介したいエロール・ジマーマン。スリナム出身オランダ国籍の黒人選手である彼は当時二十歳になったばかりの新鋭でした。

<ビヨン・ブレギーとの死闘>

オランダをはじめとして、欧州からは有望と思われる若手選手が数多くK-1を狙っていますが、その中でも本戦に辿り着けるのは一握りの選手だけです。毎年非常に厳しいトーナメントとして知られる欧州予選に2008年、ついにこの若武者がエントリーされました。この大会には、欧州不動の巨塔ブレギーや、ハンガリーの死神カラチ、そしてスピードスターのサメドフなど、いずれ劣らぬ強豪が揃っていました。
ハンガリーでの1回戦を難なく乗り切ったジマーマンは、ベスト8を相手のアクシデントで勝ち抜きました。続く準決勝では、自分より20センチ近く身長が大きいビヨン・ブレギーが相手となります。

ジマーマンは序盤から、相手の丸太のような太い腕と脚から繰り出される重い攻撃を受け続け、ダメージを蓄積させていきます。誰の目にも、体格に勝るブレギー有利は明らかでした。しかし、2ラウンド目にはリーチを生かした伸びのあるパンチで応戦。最初にダウンを奪います。ところが、ブレギーはここから猛プッシュ。コーナーに詰めて、豪腕をぶん回します。離れては膝とローキック。ブレギーが欧州の覇権を取り戻すためにプレッシャーをかけてきたのです。

3ラウンド目。なおも続く敵の攻撃に、ジマーマンは枯葉のように左右に振られ、ついにはダウンを奪われました。もはや余力はないと思われました。けれどもジマーマンの目は全く死んでいません
ブレギーがフィニッシュに向けて圧力をかけますが、ジマーマンも完全に顔面へのパンチ一本に絞ってこれに応戦します。
ブレギーは前進し、パワーのあるフックをジマーマンの顎に、テンプルに叩き込みました。並みのファイターなら……一発でノックアウトとなるところですが、この日のジマーマンはたえず動くことで微妙にクリーンヒットを逸らし、かろうじて耐えました。完全に有利となって勢いづいたブレギーの大振りのフックに合わせて、ジマーマンはカウンター右ストレートを放ちました。これが見事顔面にヒットし、巨塔をぐらつかせます。若武者は一気呵成に追い討ちを狙い、左右のフックで見事ダウンを奪うと、試合再開後にラッシュをしかけ、ブレギーは背中を向けて後退しそこでスタンディングダウンにより試合終了……となったのです。

アムステルダムアリーナは割れんばかりの大歓声。
何処の国でも、大きい相手に立ち向かう小さな選手を応援するのは普遍の人間心理なのです。

オランダの観衆を味方につけたジマーマンは、サメドフとの決勝戦を微妙な判定で下しましたが、このブレギー戦で観衆をとりこにしたことがジャッジメントに影響したのではないでしょうか。
だって、スポーツは生き物なのですから。

<開幕戦での可能性は?>

22歳という若さで開幕戦への切符を得たエロール・ジマーマンのファイトスタイルは、ムエタイスタイルをベースにしつつも、オランダ流のキックボクシングが加わった正統派K-1に近いものがあります。
そして、気の強さは隠しようもなく、チャンスと見るや相手を粉砕するまでラッシュを続け、またモーションが少ないのにバネのある飛び膝蹴りは、まるでマイク・ザンビディスやレミー・ボンヤスキーのようです。
開幕戦は相手次第ですが、ゴールデングローリージム所属なだけに同門セーム・シュルトとの対戦は避けることができます。20世紀最強のキックボクサー、ピーター・アーツはそのシュルトと戦うので、ジマーマンと当たることはありません。
レベルの高い欧州予選覇者は、イコール優勝候補という扱いを受けるのがK-1です。簡単な相手と当てられることはないでしょうが、例えレミー・ボンヤスキーやバダ・ハリが相手だったとしても面白い勝負を展開できるのではないかと思っています。

<スターは突然振ってくる>

とはいえ……欧州王者にしては、まだK-1トップファイターとの対戦がないジマーマンの躍進を予測する声が上がらないのもまた事実です。その沈黙がまた、非常に不気味なのです。
K-1における「スター」というのは、主催者やファンが想像もしないところから振ってくる歴史があります。ゴールデングローリーの若武者が、勢いを味方にトップファイターへの道を駆け上がる可能性が、今年ないとは言えません!!

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「FINAL16 FIGHTERS」シリーズリンク

第1回鋼鉄の魔城……セーム・シュルト【FINAL16 FIGHTERS】
第2回不遇の王様……レミー・ボンヤスキー【FINAL16 FIGHTERS】

以下続々

バダ・ハリ篇 
グラウベ
アーツ
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by the_kakato_otoshi | 2008-08-21 11:43 | K-1

「K-1」についての情報・コラム。ツイッターはEbi_Knight。ご連絡はkorgradiasアットマークmail.goo.ne.jp
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