KARATEリアリスト……エヴェルトン・テイシェイラ【FINAL16 FIGHTERS】
FINAL16出場者ファイル9  「KARATEリアリスト

エヴェルトン・テイシェイラ

出身国・ブラジル 身長・188センチ 体重・105キロ
2005年以降の成績・4戦4勝。2KO(TKO含む・K-1WGPのみの成績)。
所属・極真会館ブラジル支部
タイトル・K-1WGPジャパン2008優勝/第9回全世界空手道選手権大会優勝
ニックネーム・ウイリー・ウイリアムスの再来

<最後の幻想>

いわゆる「幻想」なる言葉が好きではありません。
それは、私が潜在的な唯物論者であることに起因しているかも知れません(物語としてのファンタジーは大好きです)。幻想=ファンタジーは、あくまでもフィクションだからこそ楽しめるわけであって、これが現実の世界とごちゃまぜになると大抵はロクなことがありませんよね。
最近の例に挙げれば、「オーラの泉」というテレビ朝日の番組で、江原なる詐欺師が大きな面で「前世がどうたら。スピリチャアルな世界がどうたら」と1ナノグラムの根拠もないでっちあげを公共の電波で流した結果、同様の物言いで詐欺を働く者が多数続出し、多くの無知な被害者を生み出しました。放送倫理に反する可能性があるとテレビのチェック機関に指摘を受けたにも関わらず、いまだあのような毒電波は世間に流され続けています。
幻想というのは、あくまで想像の世界でしか楽しめないのです。
これは格闘技の世界でもよく言われることですが、「幻想」とか「ストーリー」とか、そういう言葉を格闘技に用いるのは私が間違っていると感じます。
かつて、情報の少ない時代、格闘技間の交流が珍しかった時代、本気で中国拳法が一番強いとか、軍人が一番強いとか、プロレスラーが一番強いとか、無根拠な論争が交わされていた時期がありました。それは、情報が少ないゆえに、格闘技に興味を持つ者が想像で情報を補完した結果、実際に戦ってもいないのに、脳内で補強され続けた結果としての「最強」がそれぞれに出来てしまったのです。これがいわゆる格闘技における「幻想」の正体ではないでしょうか。

<フランシスコ・フィリオの衝撃>

K-1も、世界の格闘技情報が今よりも遥かに少ない時期に始まり、空手が強いか、キックボクシングが強いか、ムエタイが強いのか? という部分があったことは言うまでもないでしょう。バックボーンが今よりも遥かに重要視された時代です。
しばらくはアーツとホーストがキックボクシングを代表し、佐竹やフグが空手を代表していました。しかし、時は流れてどうやらキックボクサーのほうが強そうだとなったときに、彗星のごとく空手界最後の砦が開きました。極真世界王者、フランシスコ・フィリォの参戦です。
フィリオは元極真で正道会館に移ったアンディ・フグを倒し、一躍「極真幻想」に火をつけました。その後も並居る大型ファイターを一撃の名の下に倒していき、K-1の普及に一役買ったのです。ただ、その後研究されつくすと、豪快なKO勝利は鳴りを潜めていきました。
結局のところ、同じルールの上、リングの上で戦う以上研究されてしまえばジャンルの利点というのはなくなってしまうことをフィリオは証明してしまったのです。
そして21世紀に入り、テクニックは並のK-1ファイターでも、2M超で130キロの身体を自在に操り、その使い方をパーフェクトにマスターしたセーム・シュルトという空手家によって、ヘビー級ではボックボーンやジャンルよりも、もって生まれた体格にこそ強さが左右されるのだということが証明されつつあります。
「体格」をもって「適応」すること。これが現在におけるK-1の「最強」ではないでしょうか。

話をテイシェイラに戻さなくてはなりません。2008年。10年の時を経て再び極真世界王者がK-1のリングに足を踏み入れることになりました。
フィリオが空手のスタイルをもったままK-1に登場したのに対し、テイシェイラは最初からK-1ファイターであろうとしているように思えます
これが時代の流れであると感じました。10年前であれば、誇りある老舗のエースが、負ける前からこれほどまでに「適応しよう」などと考えなかったはずです。
空手のスタイルをK-1に持ち込んでも、百戦錬磨のキックボクサーたちには勝てない
そのことを極真勢が理解したからこそ、理解してしまったからこそ、テイシェイラは空手時代のスタイルを封印し、新たな「K-1仕様のテイシェイラ」をハナから模索している……そう言えるでしょう。

<極真幻想の持ち主ではなく>

ゆえに、テイシェイラは極真を背負った王者という幻想的な側面を持たなくなりました。
前田戦ではすばしこく動き回る相手に対し、自慢のスタミナを消費させられるシーンも目に付きました。これまでの4試合すべてが日本人相手の勝利であることも、評価上昇に繋がらない原因でしょう。極真好きの谷川EPを満足させるような、フィリオ、フグのような存在には未だ遠いといわざるおえません。90年台極真選手の幻影を求めたオールドK-1ファンにとっても、ジャパンGPでの戦いは失望に値するものだったかもしれません
しかし、私は逆の見解を持っています。空手スタイルの限界にぶつかる前に、K-1仕様に転換することを決意したテイシェイラには逆にK-1で現実的に戦う覚悟を感じるのです。
それは主催者側が極真王者に求めたモノではないでしょう。しかし、私は「空手家」ではなく、「K-1ファイター」としてのエヴェルトン・テイシェイラには多大に期待できるのです。オランダ勢天国である現在のK-1に、風穴を開ける存在として、このブラジル生まれの巨漢にはグランプリをかき回してもらいたいと思っています。

<ソウルから横浜へ>

とはいえ、谷川EPの彼への期待は単に「空手」幻想を継承する存在としてだけではないでしょう。テイシェイラ自身が放つ「気配」は只者ではなく、いるだけで威圧感を与える風貌と存在感があります。それは、現在参戦中のK-1ファイターにはない新たな雰囲気です。
このただならぬ空気を横浜に持ち込みたいと考えるのは必定ですので、対戦相手はそこまで厳しい相手ではない可能性が高いと思われます。
ただ、果たしてどのくらい強いのか、前田戦や藤本戦だけでは全く判断ができないのも事実です。この「未知」具合もまた、K-1ファンの楽しみとなるのではないでしょうか。
幻想」を捨てた「現実主義者」。エヴェルトン・テイシェイラのK-1ファイターとしての真のスタートは、このソウルからなのです。凝視せねばなりません。


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「FINAL16 FIGHTERS」シリーズリンク

第1回鋼鉄の魔城……セーム・シュルト【FINAL16 FIGHTERS】
第2回不遇の王様……レミー・ボンヤスキー【FINAL16 FIGHTERS】

以下続々

バダ・ハリ篇 
グラウベ
アーツ
ジマーマン
サキ
カラエフ
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by the_kakato_otoshi | 2008-08-28 19:51 | K-1

「K-1」についての情報・コラム。ツイッターはEbi_Knight。ご連絡はkorgradiasアットマークmail.goo.ne.jp
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