ガリバー格闘記……チェ・ホンマン 【FINAL16 FIGHTERS】
FINAL16出場者ファイル15  「 ガリバー格闘記

チェ・ホンマン

出身国・大韓民国 身長・218センチ 体重・146キロ
2005年以降の成績・16戦12勝。7KO(曙含む。K-1WGPのみの成績)。
所属・フリー
タイトル・K-1WGPソウル2005優勝
ニックネーム・KOREANモンスター

<韓国格闘界のパイオニア>

日本同様、韓国の格闘技熱もK-1から始まりました。
それまでもケーブルテレビでは放送されていたのですが、ホンマンの登場で一気に注目が集まりました
それもそのはず。欧米のヘビー級選手を遥かに凌ぐ圧倒的な長身と、丸太のような腕と足。韓国相撲の頂点に立った実績。愛嬌のあるキャラクター。韓国内で「K-1」の知名度が広がっていくのは一瞬でした。
K-1はケーブルテレビ史上類をみない視聴率をたたき出し、韓国内に「格闘技興行」という新しいイベントを定着させたのは、第一にチェ・ホンマンの功績であると言っていいでしょう。
ホンマンをきっかけにして、韓国内で格闘技ブームが爆発しており、それに乗じて総合格闘家秋山成勲やデニス・カーンなどにも人気が波及しているようです。
ホンマンは人気ポップスターと競演し、CDを出すなど、活躍の幅も広がりました。
怪物的な肉体を持ちながら、器用にステップをこなし、ラップを口ずさみ、ファッションにも気を使う、国民的なスポーツ選手としてホンマンは受け入れられていきます。

今年は問題がありました。
兵役と脳腫瘍の問題です。兵役は規定によって入隊できないことになり、免除となりました。脳腫瘍の手術も成功。二つの致命的な問題をクリアしましたが、前者は韓国人としてのアイデンティティに、後者は健康面にそれぞれ注文がつく形になり、韓国世論も「ホンマンがんばれ」という風向きではなくなってきたのです。
成績面でも昨年はマイティ・モーに生涯初のKO負けをするなど、決してその注目度に見合った活躍ができませんでした。加えて今年は前述の問題のために試合なし。開幕戦が今年の初戦という厳しい状況に立たされています。

格闘ファンのなかでは、そういった事情から反感も買っていますが、その類稀なる肉体から常に「何かやってくれるのでは」と期待されてもいるのです。

<漫画の主人公?>

他のヘビー級K-1選手たちと彼が決定的に違う部分があります。
それは、「普通の兄ちゃん」であることです。バダ・ハリやグーカン・サキなど、他の新世代と比較しても、その傾向ははっきりしており、「もともと普通の学生で、ポップスターになりたかった」と語るなど貧困や移民などを経験して強くなっていった「あしたのジョー」の世界に棲む欧州系の選手たちとは一線を画しているのです。
体が大きくなりすぎ、韓国相撲の世界に入りますが、もともと身体的には日本人とほとんど変らない韓国人ですから、そのなかでは圧倒的に強くなりました。
それでも最初の夢であるポップスターへの道はあきらめ切れていなかったようで、K-1で人気が出た後でCDを出した際、「ダンスも好きだし、これがやりたかったんだ」とファイター以上に充実しているかのようなコメントを残しています。
その上で、「この体がなければ、こんなことはできなかった」と語っています。

どこにでもいるような普通の少年が、ある日突然超人的な力を授けられた。フィクション漫画の王道のようなストーリーを、リアルに歩んでいるのがチェ・ホンマンなのです。もともと、ありあまるエネルギーや闘争心を抑えきれずに格闘技をはじめたようなファイターたちとは精神的にまるで違うのです。
どこか雲の上をフワフワ歩いているような印象を受けるのは、そんな彼の格闘家としての成り立ちのせいではないでしょうか。
実に興味深い選手です。

<肉を切らせないで骨だけ断ちたい>

で、あるがゆえに。

接戦になったときに、どうしてもあと一歩で闘争本能の差が見えてしまうのが、非常にもったいなくはあります。
ホンマンは決してインファイトの打ち合いが好きな選手ではありません。できればアウトボクシングに徹して、自分はダメージを受けずに膝やパンチを当てていきたいと考えています。
もともと闘争心の塊ではないので、自分の大きさを有効に生かしつつ、無傷で相手にダメージをコツコツ与えたいのです。それが可能な相手ならば、ホンマンは敵を圧倒します。しかし、一定以上のレヴェルの選手が相手になると、上手くできません。技術やスピードで翻弄されると、手も足も出ません。

「でかくて打たれ強いんだから、距離を詰めて打ち合いにもっていけばいいのに」

とは、誰しも思うこと。
でも、その「肉を切らせて骨を断つ」というリスクを背負うことが苦手な性格、性分なのでしょう。
可能な限り、自分はダメージを受けない位置にいたい。あまり格闘家として向いている性格ではありません。日本の武蔵も、そのような戦い方をしますが、武蔵流の場合は何度も外国人選手に壮絶なKO負けを繰り返す内に身についた、“実戦の中で培った”格闘思想です。対してホンマン流の場合は、最初からリスクを持って、闘争心に任せて戦いを挑むようなやり方をしません。ひたすら遠距離射撃。これです。

<違和感>

プロフェッショナルな格闘家たちの競演であるK-1。しかし、そんな中でリスクを犯さず遠距離射撃でコツコツ戦う大巨人の存在は、非常に違和感を感じます。しかし、「違和感」というのがK-1にとって大事な要素かなと思います。かつてボブ・サップが残したインパクトは、テクニックとパワーとメンタルのバランスを求められていた格闘家像に一石を投じました。圧倒的なパワーのみでテクニックとメンタルは素人という「違和感」が面白かったのです。

ホンマンの持つ「2Mの身体を持つ普通の兄ちゃん」という違和感は、格闘ファン以外にも届きうる存在です。誰もが同じような技術を持ち、同じように闘争心をみなぎらせ、同じようにビッグマウスだったら、個性がありません。はっきり言えば、つまらない。
ホンマンの持つ不思議で特殊な個性は、K-1にとってただのキックボクシング興行とは一線を画す大事な要素……ではないでしょうか。


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by the_kakato_otoshi | 2008-09-24 18:44 | K-1

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