■日本と世界の関わり
今、日本と世界との関係をどう構築するか、どう比較していくかってことが凄くテーマになっているような気がします。インフルエンザのこともそうだし、北朝鮮のミサイル&核開発もそうだし、世界同時不況のこともそうだしね。かつてのように欧米の模倣をして追いつけ追い越せだったときのような、単純な「欧米>日本」という図式じゃなくなっていることは確か。
日本の素晴らしいものはどんどん欧米に広がっているというのは、毎日のニュースで流れている通りですよね。元来得意の技術分野では言うに及ばず、ゲーム・音楽・アニメなどの文化が海外でプロモーションしている様子なんかはよくテレビで見る通りです。
グローバル化という単純な言葉で片付けるのはつまらないのですけど、すでに日本が海外より劣った社会であるという風に考えるのは前世紀のことになっているのが実感できます。
■ところがこんな書き込みが(笑)
と、いうのが常識だと思っていたんですけど、2つ前のエントリー、K-1欧州予選の意義とは? 歴史的役割の転換期 ~ポーランド・オランダ~ において、馬鹿馬鹿しいカキコミがあって相手をしていたら、「なるほどこういう日本人がまだいるんだなぁ」と感心させられました。ちょっと引用します。
>ショータイムが力つければヨーロッパ勢はそっちに行くに決まってる。
>なんでわざわざ極東の島国でモンキー相手にしか知られないところで戦わなきゃならんのだ。
>海外>日本の価値観なんだから日本人が海外を求めて、欧米人が自国を求めるのは当然のことだろ。
>一線でやれるのにどこに好き好んで主戦場を日本にやってくる海外スポーツ選手がいるんだよ。
>ショータイムが成長したら普通に日本k1なんかより優先するに決まってるだろ。
>日本人選手が海外に行くのもそれだけ大きな金と名誉があるからで、基本的に条件が同等か多少悪いくらいなら、自分が有名になったリターンをもろに体験できるヨーロッパを選ぶでしょう。
>それにそもそも、今のk1がイロモノやら人気優先やら直前参戦やら疑惑判定をやってるくせに、公平公正中立なんて程遠いだろ。
>どこに尊敬があるんだよ、日本のリングに。
>ヨーロッパと比較して相応しい舞台なのか、日本が?
この書き込みをした人が日本人かどうかは知りませんが、日本語が書けているので日本人か日本に長く住んでいる外国人か、いずれにしても日本在住であることが推測できます。
内容はK-1についてのことも含まれているのですが、私が「はぁ~」とため息をついたのがこの人の中で日本に対する、つまり自国に対しての自虐的な価値観と欧米史上主義です。
去年、元航空自衛官の田母神氏が「自虐史観を変えねばならん」と言っており、それを支持する声がネット上でも大きかったことが思い起こされますが、いまだにこうして日本は他国よりも劣っていると頭から思いこみ、それを他者にも押しつけようとするやからが存在することは、日本人としては残念な思いです。
■こういうひとの正体
実際に話をした人のなかで、日本に対してこうした自虐的な価値観を持ち、必要以上に海外を持ち上げる人間に限って、海外旅行にすら行ったことがない、日本から出たことがない人が多いです。
私などは海外に出るたびに「日本はやっぱり凄いなあ」と思います。なにをやるにしても、日本人はまじめで緻密です(全員ではないけど、たいていは)。欧米人は非常におおざっぱ。アジア人はそれを通り越してむちゃくちゃ。
もちろん、まじめで緻密なのが、時として裏目に出る場合もあります。政治なんかを見るとわかりますが、何を決めるのも遅い。調整しようとして他人の顔色をうかがい、八方美人になるとか、言葉を選び過ぎて全く意味が通らないとか、そういう欠点につながっています。
とはいえ、物事を運営する上で日本人の緻密さ、真面目さは際立っているように感じるのですが、それは海外に出ないと見えてこないことです。日本の中にいて、それを実感するのは難しいでしょう。
いわゆる左翼的な教育を受けてきた人間が、日本は劣った国であり、日本人は劣った民族であると思いこむと、あらゆる情報にバイアスをかけてしまうのです。
たとえば、上記に引用したコメントで
>今のk1がイロモノやら人気優先やら直前参戦やら疑惑判定をやってるくせに、公平公正中立なんて程遠いだろ。
という一文がありますが、この方は自身が対比してもちあげている欧州プロモーターの運営が「人気優先やら直前参戦やら疑惑判定」のオンパレードであることをすべてスルーしている。(こいつの場合は単に情報不足なだけか?)
特に、直前参戦についてはK-1など比ではない。「あれ? いつの間に選手変わったの?」っていうことはショータイムのみならず海外キック興業には朝飯前です。もはや騒ぐ気にもならないから書かないだけです。判定も明らかな地元判定が欧州には非常に多い(ドイツが一番ひどいらしいですけど)。これはムエタイ、キック、ボクシングとどの世界でもそうらしいです。
K-1の運営が100%素晴らしいとはひとつも思いませんが、だからといって、海外のほうがなにもかも素晴らしいとは1%も思わない。公平公正に比較すれば、「まあ一長一短あるけど、K-1のほうが比較的マシ」だと見識のある人なら考えると思います。
まあ、この人の場合はおそらく、「欧米では公正にすべてが運営されている」と無批判に思い込んでいるのでしょうね。そういう方はよくいますから。
そもそも、今回話題に上ったショータイム自体がK-1の尻馬にのって成績を伸ばした興業。ルールだって、日本人が作った「K-1ルール」を使っていることをそもそも失念しているのかもしれませんね。いや、それ以前にオランダにキックを持ち込んだルーツが日本人であることすら知らないのかもしれない。
日本人が持ち込んだキックがこうしてK-1と姿を変えてオランダで花開いている現状も見ずに、「欧州最高、ショータイム最高、オランダ最高ぉぉぉぉ!」ってのは全く話にならない。浅はかすぎて。
ま、このカキコミ主が単なるK-1嫌いなのかもしれませんが、冷静に考えるとこんな馬鹿相手にしたくないでしょ(笑)? 相手にしてもらえなくて悔しがってたみたいだけど、できるかっての。時間の無駄。
■話がそれた。。。
しょうもないカキコミについて文字数を割いてしまいましたが、かねてから私が主張していたことでしたので、何度目かになりますが書かせてもらいました。
「かかとおとし」は毒舌や批判を売りにして何も提案しないような、「批判のための批判」をするブログではありません。良ければ良いと書くし、悪ければ悪いと書きます。そこは他のコラム系ブログとは一線を画しているつもりです。
さて、話は日本と海外との関係に戻りますが、
「日本はもう立ち直れない」 だから「海外で働こう」
という記事があります。
これまで日本は悪くないと書いてきてなんですが、将来的には厳しくなってくるであろうという話。
現状のままの日本であれば、格差社会→格差固定社会になり、成功して成り上がっていくのが難しくなるからいっそ海外で働けるようになっておくのがよいかもねっていう話です。
ここ最近、識者の間でこうした話が持ち上がってきますよね。
池田信夫氏がブログで「日本人の多くが『希望がない』と思っている」と述べるなど、日本の経済的閉塞状況は将来的に深刻の度合いを増し、2030年には年金制度も崩壊するらしいし、もしかすると、日本が住みよく、真面目で緻密な人たちによる土地であるという実感ってのは、もうあと数十年で終了かもしれませんね。
政権政党である「自分だけ保守党」と「個人崇拝の宗教政党」は全く将来のビジョンないし、マスコミは広告代理店の言いなりだしなぁ……。
まあ、それでも外国に比べれば全然マシですし、さてどうなることやら。
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