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テーマなき場当たり放送。迷走するTBSのK-1中継
マニア向けで一般視聴者には届かない」「63キロは成功を論じる以前にまだK-1として始まっていない」と主張した7月5日のMAXについての反響が著しいですね。
「共感した」という意見もあれば、「このカテゴリのために頑張った選手に対して敬意を持て、けしからん」という意見もありました。

今日のエントリは、
前エントリについて私の説明不足もあって誤解を生じている部分があったと思うので、そこのところを補足したい

特に誤解の多かったこの部分について説明しましょう。

マニア向けで一般視聴者には届かない」と思われる理由についてです。

「大和は頑張った」とか「自演乙の入場がアレだった」とか、そういう瑣末でつまらない理由ではないのです。


これは選手の問題ではなく、TBSの放送構成に問題があると思います。

そもそも、テレビで観る視聴者は(PPVを買ったり会場に行くような層ではなく)、この大会はどういうコンセプトで行われているかを知りません

なので「史上初のダブルトーナメント」と言われても全くピンと来ないでしょう

「ダブルトーナメント」と銘打ちながら、
地上波放送ではリザーブファイトのボクサーとレスラーのつまらん試合を3R垂れ流し、
しかもそれはトーナメントには絡みません。

そして、すっかり視聴者の心を冷やしておいて、知名度のない出場者8名による「日本トーナメント」が突如開幕します。そこには、まだ名前の知られたHAYATO、魔裟斗、小比類巻らの姿はありません。(一般視聴者は彼らが引退したことをどれだけ知っているだろうか)

ほとんどの視聴者は、JCBホールで63キロのファーストラウンドが行われていることすら知らないのです
したがって、誰が主役格で、どういう位置づけの試合、どういうキャラ付けの選手なのかもわかりません(苦笑)。なにしろ説明がない。

第1試合に出てきた読者モデルファイターが「主役なのか?」と思わせていきなり目つきの危ないキックボクサーに寂しいKO負け。
テンデンバラバラにキャラの薄い似通った体格のファイターが登場し、第2試合で「微笑みスナイパー」、第4試合で「剛腕ペンキ職人」がそれぞれ勝ち上がるころには、格闘技が好きな人しか見ていないと想像できます。

と、そこで急に自演乙が登場エヴァンゲリオンの使徒となって登場します。
で、この試合は全くペンキ職人や火の玉ボーイの出場する「トーナメント」とは絡みません。

そうです。70キロのトーナメントの説明はほとんどありませんでした
今回日本人中心の試合を3試合行い、後日海外で残り5試合をする。そして、10月に決勝戦を行いますという説明が20秒あればできるはずです。でもない。

視聴者がこの試合を「トーナメント」と位置付けて観ることはできないでしょう。
ちゃんと見てなければ63キロ以下級のトーナメントと混乱し、自演が勝てばもう1試合出ると思った者もいたかもしれません。
その後の山本vs佐藤も同様です。

そして準決勝。

視聴者はK-1のトーナメントについてはある程度わかっていると思いますが、その前に放送されていた佐藤や自演は出てこず、どうなっているかを正確に把握することは難しいでしょう。
体重別でカテゴリ分けしてるんだよという詳しい説明もありませんし。
(もし、なぜ70キロと63キロという不思議な分け方なの? と思う視聴者がいれば、その人は相当鋭いのではないでしょうか。ほとんどの人は区別されていることすら気がつかないでしょう)

そんなグダグダ状態のまま、放送は終了。

その後どうなる、こうなるという説明は特になし。

全く視聴者を馬鹿にするのもいい加減にしろと言いたい。

K-1の魅力はワンデイトーナメントのわかりやすさ。日本人が好きな「トーナメント」というシステムでわかりやすいサバイバルゲームを放送することにあります。トーナメントの合間に余計な試合がごちゃごちゃ入って、しかも同じ階級ではないなんて誰が理解するのでしょうか。過去の日本代表決定Tなどで、合間にワンマッチが入ることはありましたが、基本的には同じ階級ですからまだわかるというものです。(本当はなくていいんだけど)

結論として、ファン以外にとって非常にわかりにくい放送をTBSはしたのです

争点が二つある議論というのは、
混乱して盛り上がりません。

似通った体重で別階級のトーナメント。
それも、「日本人限定のワンデイトーナメント」と、「世界トーナメントのベスト16の1回戦の3試合」という……なんだかもうわざとわかりにくくしているとしか思えないようなカテゴリ分けの興行を組んだ時点で、テレビ的には失敗というしかない。

すべての試合をなんとか盛り上げようとして、結果的に構成・まとまりを失っている典型的な失敗放送だと思います。
フジテレビのWGP決勝戦などは、時間が余らない限り余計な試合はあまり挟みませんし、きちんと「リザーブファイト」という説明をしていますよね。
なによりも、「WGPのトーナメント」という一番伝えたいことをブレずに伝えている

しかし、TBSの放送はとにかく試合シーンと注目選手だけをつないで、瞬間瞬間の絵面だけをお化粧して見せているだけで、肝心の「何が一番の肝なのか」が全くわからないのです
これはK-1だけではなく、年に1回か2回やっているDREAMのゴールデン放送を観た時にも同じ感想を持ちました。

2時間という放送枠の中で、どこにカタルシスを持っていくのか。何を一番に注目してほしいのか。結果、次はどうなるのか。。。。。

TBSの格闘技中継、いい時ももちろんあるのですが、今回に関しては芯のないまるでタコのような放送ではないかと思います。

63キロをやるなら、63キロだけでやるべきだった。
すべての試合を63キロで行い、70キロは欧州で8試合やるべきだった。

そうすれば、視聴率は今回と同程度だったとしても「次につながった!」と胸を張って言えたでしょう。

自演乙が優勝したことで変な色気を出し、63キロのトーナメントと同じ興行で「日本人選手の3試合だけ日本で行う」などという非常にわかりにくい案を出してしまったFEGは猛省するべきではないかと思います。

「大和が……」とか「石川が……」とか、そういう個別で瑣末の理由や原因ではなく、
今回の視聴率低迷には明確な主催者と放送局側の下心から来た失敗の理由があるのではないでしょうか。

試合内容自体は、マニアの方もおっしゃるように素晴らしいものでした。
結局FEG自身が63キロのトーナメントの内容に自信が持てず、
70キロの人気選手を併用してしまったことこそ、「迷走」のはじまりだったのです。視聴率を取りに行くどころか、テーマが散漫になって逆効果になってしまっているのです。

10月のMAXは70キロの世界トーナメントがメインテーマですが、
ここでもし63キロのワンマッチがじゃりじゃり挿入され、
本題の世界トーナメントの試合が大きくカットされるようであれば……
いよいよMAXの迷走は深まることですし、コンテンツの内容を自ら劣化させている(試合内容ではなく)自滅行為であると断言したいと思います


テレビ放送としてのコンテンツと、個々の試合内容というのは決してイコールではないと私は信じています。
どんなに映像を録ったドキュメンタリー番組でも、テーマにきちんと筋が通ってなければ何も伝わりません。
どんなに素晴らしい役者を使った映画も、演出がクソであればやはりクソ映画なのです(よくありますよね)。

TBSはこんなわかりにくいコンテンツを作って、どうやって格闘技を普及させようと言うのでしょう

マニアの満足のための興行であれば、別にK-1が行う必要はない。後楽園ホールでやっててくれ。
マスを含めて、わかりやすく面白く、かつ内容の濃いものを目指さずして、K-1の普及があるでしょうか? いやない(反語)。



*追記 なお、「そんなに地上波がイヤならPPVで見ろ」「所詮TBSなんだから多くを求めるな」という程度の低いコメントは必要ありません。


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by the_kakato_otoshi | 2010-07-10 07:34 | K-1

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